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都市ガス vs プロパンガス|世帯別・地域別の最安プランの選び方

「都市ガスとプロパン、結局どっちが安いの?」と迷ったら、まず“世帯ごとの使い方”と“住んでいる地域”で分けて考えるのが近道です。
料理だけか、給湯も暖房もガスか、冬の使用量はどれくらいかで、最安プランはガラッと変わります。
さらに、プロパン(LPガス)は熱量が高く、同じお湯を沸かすにも必要な体積が都市ガスと違うのが落とし穴。
ここをサクッと押さえて、最新の制度改正も踏まえつつ、単身・ファミリー、首都圏・地方で“ハマる”選び方を具体例とチェックリストで整理します。
読み終えるころには「わが家はこの条件なら、このプランで見積り依頼」とスッと動けるはずです。

都市ガスとプロパンガスの違いを3分で把握

料金の決まり方は似ているが、LPは「三部料金制」に注意

都市ガスは「基本料金+従量料金(m3単価)±原料費調整」で計算され、事業者ごとに月々の単価表や早見表が公開されています。
関西では大阪ガスの「料金早見表」、関東では大手各社が同様の早見表を毎月更新しており、使った量に応じた概算が確認できます。
LPガスは自由料金で、会社によっては「三部料金制(基本+従量+設備料金)」を採用。
2025年4月以降は設備費用の外出し表示を義務付け、LPガスと関係のない機器費用をガス料金に含めることが禁止されました。
請求書に内訳が明記されるため、比較・交渉がしやすくなっています。

熱量差があるから「m3」をそのまま比べない

LPガスは1m3あたりの熱量が都市ガス(13A)より大きく、ざっくり「LP1m3 ≒ 都市ガス2.23m3」の関係です。
つまり、同じお湯を沸かすならLPの使用体積は少なく表示されます。
料金表を見るときは「LPの使用量×2.23=都市ガス換算量」で合わせてから比較すると実力が見えます。
都市ガス13Aは標準熱量45MJ/m3、LPガスはおよそ100MJ/m3超という目安が公表されています。

供給エリアと選べる事業者

都市ガスは2017年に小売全面自由化。
供給エリア内であれば小売事業者を選べます(ネットワークは地域のガス会社が担保)。
一方、LPガスはボンベ供給でエリア外でも導入でき、離島・山間部でも設置可能です。
都市ガスはエリア内なら“選ぶ”、LPガスは“会社と条件を比べる”のが基本姿勢です。

世帯別の最安プランの見つけ方

一人暮らし:固定費を削る設計に寄せる

単身世帯は「基本料金の軽さ」が効きます。
料理とシャワー中心で月の都市ガスが9〜16m3(夏〜秋)、冬は30m3前後まで増える東京都データが参考になります。
この帯域なら、都市ガスは使用量の少ない階層の単価がカギ。
LPガスなら三部料金制の場合、設備料金の有無と金額を必ず確認しましょう。
電気とセットでの割引がある都市ガス小売は単身に向くケースが多く、見積りは「基本料+(単価×使用量)±調整±セット割」で横並び比較を。

二人〜三人暮らし:冬のピークで選ぶ

2〜3人世帯は冬場に都市ガス41〜71m3のレンジに入りやすく、単価階層の変わり目で差が出ます。
この層は「冬のピーク使用量」で見積りを取り、年間の支払額に直すのが王道。
関西なら大阪ガスの一般料金 vs 関電ガス系プランのように、同エリアの小売間で基本料・単価がどう違うかを“ピーク月の想定使用量”で比べると有利不利がクッキリします。

四人以上・お風呂重視世帯:給湯効率と使い方で“単価差”を飲み込む

4人以上だと冬に都市ガス47〜77m3の帯域へ。
この規模では給湯効率(高効率給湯器)と入浴ルールが効きます。
追いだきの回数や保温シートの活用で、1シーズン数千円レベルの差が出る実験データもあります。
LPと都市ガスの単価差だけで決めず、「熱量換算+使い方の最適化」で総額を圧縮しましょう。

地域別のチェックポイント

首都圏・中部:都市ガス自由化の“選べる”を使い切る

東京・名古屋圏は都市ガス小売の選択肢が多く、月次の単価表や早見表が整備されています。
電気同時契約のセット割やポイント還元を含め、ピーク月の想定使用量で横並び見積りを。
都市ガスの小売自由化後は、「基本料金帯」「単価階層」「燃料費調整ルール」の3つを見れば、大筋の優劣が判断できます。

関西:大阪ガス基準で“帯域”をチェック

関西は大阪ガスの料金表・早見表が基準情報として有用です。
関電ガスなど競合プランも、同じ使用量で比較しやすい設計。
冬場30m3・60m3・100m3の3点で見積りを取り、どの階層で最安になるかを見極めます。
原料費調整単価の月変動にも注意し、年トータルで判断しましょう。

北海道・東北・山間部:LP主流+灯油の現実解

都市ガス網が限られるエリアではLPガスが主流。
寒冷地は給湯・暖房の負荷が高く、LPの従量単価が効きやすいので、地域平均価格と自宅の単価を照合して“高止まり”を把握しましょう。
石油情報センターの月次統計や地域検索は、相場感を掴むのに役立ちます。

九州・沖縄・離島:LPの見積りは“内訳”が命

LPガスは会社間の単価差が大きい分、三部料金制の内訳開示で比較が容易になりました。
設備料金の対象が「ガス消費に関係するもの」に限定された点も重要です。
離島・山間部での新規導入や切替は、請求書サンプルの提示を求め、基本・従量・設備の3軸で判断しましょう。

賃貸・持ち家での「最安」の意味が変わる

賃貸×LPガス:契約前の料金提示が当たり前に

これまで賃貸では、入居後にLPガス料金を知らされるケースが散見されましたが、国は透明化を強く促進。
とくに2024〜25年にかけて、賃貸集合住宅における料金情報の事前提示や三部料金制の徹底が周知・施行されています。
内見時に「基本・従量・設備の内訳」「原料費連動の説明」「機器貸与の有無」を確認しましょう。

持ち家:設備投資は“熱量×使い方”で回収

高効率給湯器や浴槽保温、キッチンの使い分けなど、機器側の効率化でガス使用量を圧縮できます。
追いだきを抑えたり、湯はりを効率化するだけでも数十円/回の差が積み上がります。
機器更新は「年間使用量×単価差×耐用年数」で回収目安を見積もるのが実務的です。

切替時の落とし穴:機器“無償”の裏に費用がのっていないか

LPガスでは、給湯器や警報器の“無償貸与”を条件に長期契約を結ばせるケースがありました。
2025年の新ルールでは、LPと無関係な設備費用の計上禁止、賃貸向けガス器具の費用をLPガス料金として請求することの禁止が明確化。
「設備は誰の所有か」「違約・撤去費はゼロか」「設備料金の月額はいくらか」を紙で確認しましょう。

実例で比較:月○m3使う家庭の料金差をざっくり試算

ケースA:都市ガス30m3(月)=LP約13m3相当

単身〜2人暮らしの冬場ピーク想定です。
見積り手順はかんたん。
1)都市ガスの料金表で「30m3」行の合計を確認。
2)LPは「13m3」を基準に、基本+従量+設備(あれば)で算出。
3)LPの従量単価が高めでも、設備料金がゼロなら逆転することがあります。
この“換算して同じエネルギーで比較”がコツです。

ケースB:都市ガス60m3(月)=LP約27m3相当

ファミリーの冬場想定。
都市ガスは使用量階層が下がるほど単価が下がるテーブルが一般的で、この帯域は都市ガスの競争力が増しやすいゾーン。
LP側は「従量単価×27m3」が効いてくるため、値引き交渉は“従量単価1円刻み”で総額が数百円動くことを意識して臨むと効果的です。

料理のみ/給湯のみの使い分けトリック

自炊中心でコンロ使用が多い家庭は、熱量の高いLPの火力メリットを評価しつつ、月間体積の少なさで従量費を抑え込めることも。
逆に給湯偏重なら“使うほど単価が下がる”都市ガスの階層構造がハマります。
いずれも、まずは自宅の「月間m3」を把握し、換算して横並びにすること。

災害・停電時まで含めた“総合コスパ”で考える

LPの分散型と「軒下在庫」

LPガスはボンベ2本設置が基本で、満タンの予備が“軒下在庫”。
大規模災害でも1戸単位で点検・復帰でき、避難所・仮設住宅でも迅速に活用されてきました。
非常時に強いエネルギーとして位置づけられています。

都市ガスのブロック復旧と安全システム

都市ガスは広域ネットワークを安全に管理するため、地震時はブロック単位で供給を止め、被害状況をITで判定しながら段階的に復旧します。
自宅のメーター復帰手順も公開されているので、停電・地震の備えとして家族で共有しておくと安心です。

“備え”も料金プランの延長線

最安だけを追うときほど、非常時の使い勝手は見落としがち。
LPの非常用利点か、都市ガスのネットワーク回復の見通しの良さか。
地域のリスクと生活スタイルで“納得の最安”を選びましょう。

申し込み前チェックリスト&見積書の読み方

見積で必ず確認する5項目

1.基本料金(税抜/税込、都市ガスは適用階層)。
2.従量料金単価(都市ガスは階層別、LPは1m3単価)。
3.設備料金(LPのみ。機器名と月額、撤去費の有無)。
4.原料費(燃料費)調整の算式と適用月。
5.特典・セット割の条件(最低利用期間、違約金)。
これを同じ“換算使用量”で並べれば、最安は自然に浮かび上がります。

交渉・問い合わせの型(そのまま使える)

「現在の請求書(内訳つき)と、過去3か月の検針票を添付します。
基本・従量・設備料金(LPの場合)の最新単価と、原料費調整の算式・適用月をご提示ください。
同条件での年間見積り(冬60m3・その他30m3想定)もお願いします。」
――この一文で“比較できる材料”が揃います。

月1回の見直しルーチン

原料費調整や相場は動きます。
都市ガスは各社の月次早見表、LPは石油情報センターの統計をチェックして、単価上昇が続くときは他社見積りを取り直す。
この“月1ルーチン”だけで、値上がり時も支出がブレにくくなります。

まとめ

「世帯×地域×使い方」で“同じエネルギー量に換算して”比べれば、都市ガスとLPの最安は自ずと判定できます。
単身は固定費の軽さ、2〜3人は冬ピーク、ファミリーは給湯効率と入浴ルールが決め手。
地域では、都市ガス自由化エリアは小売の横並び、LP主流エリアは三部料金の内訳開示と地域相場の二段確認が効きます。
最後に、非常時の強さや復旧性も“暮らしのコスト”の一部。
今日のガス検針票を手に、換算→横並び→相見積りの3ステップで一歩進めてみませんか。
きっと「うちの最安」は、数字で見えるはずです。

※本記事で触れたルール・相場・単価は執筆時点の公表情報を基にしています。
最新の料金表・統計・告知を各社・各省庁ページで必ずご確認ください。

  • この記事を書いた人

Ken

2000年からWEB制作を開始し現在は会社員でWEBクリエイターとして勤務。 デジタルガジェット、WEB技術、投資、ライフハックに興味があり現在複数のブログを運営中

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