就活は情報もやることも多く、自己分析はつい後回しになりがちです。
とはいえ、面接で語る内容の芯が決まらないままでは、どれだけESを出しても評価は安定しません。
そこで本稿では、10分で自己分析がぐっと進む「逆算シート」の作り方を、テンプレートと具体例つきで解説します。
逆算シートは「内定から逆向きに道筋を引く」一枚の設計図です。
志望職種の評価軸を先に置き、そこに合う自分のエピソードや数字を素早くはめ込むのがコツです。
サッと埋めるだけで、ガクチカ、自己PR、志望動機が一本のストーリーにまとまります。
さらに、面接の一問一答にも展開しやすく、準備の重複が減ります。
机に向かって悩むより、フォーマットに沿って手を動かすほうが早く深くなります。
ペン一本でも、スマホのメモでも実行できます。
今日は「10分で骨格を作る」「30分あれば磨ける」二段構えで、実務に耐えるレベルまで持っていきます。
読み終えたその日に、第一志望向けの自己PRが組み上がるはずです。
では、キュッと肩の力を抜いて始めましょう。
逆算シートとは何か
誰でも10分で使える理由
逆算シートは、面接官の評価プロセスを起点に項目が配置されています。
つまり「企業が見たい→それに当たる自分の根拠→数字と行動→学び→再現性」という順番です。
最初に評価軸を固定するため、迷走が起きにくく、手が止まりません。
パッと見で全体像が把握できる一枚設計なので、時間をかけずにギアを上げられます。
考える前に書き、書いてから考える流れを意図的に作っています。
完成度70%で良しとし、後から肉付けする設計です。
この「粗く作って磨く」手順が10分運用に合います。
シートの全体像と欄の意味
逆算シートは主に六つの欄で構成します。
一つ目はゴール欄で、志望職種と期待成果を一行で定義します。
二つ目は評価キーワード欄で、企業が重視する資質を三つだけ抜きます。
三つ目は根拠エピソード欄で、各キーワードに対応する自分の経験を一行で置きます。
四つ目は数字と行動欄で、結果と過程を数量化し、再現性を示します。
五つ目は学びと転用欄で、経験から得た原則を他場面に移せる形にします。
六つ目は伝え方構成欄で、60秒、90秒、120秒の話型を用意します。
最後に次アクション欄で、明日やる具体タスクを三つ決めます。
スッと見返せば、どの面接でも土台として機能します。
完成イメージ
完成イメージは「志望職種の評価軸」と「自分の証拠」が一本の線で結ばれている状態です。
営業なら「新規開拓力」「数字責任の耐性」「仮説検証の速さ」のような軸が想定されます。
そこに「サークル協賛獲得数を前年比180%」「週次でトークスクリプトをABテスト」「失注理由の分類と次週改善」などの証拠を対応させます。
文章は長くせず、面接で口に出しても息切れしない量に抑えます。
見た目は素朴でも、論理の骨が通っていれば強いのです。
キュッと要点が詰まった一枚を目指します。
10分で作る手順の全体設計
タイムボックスの使い方
10分は「三分+三分+二分+一分+一分」に分けます。
最初の三分でゴールと評価キーワードを決めます。
次の三分でキーワードごとの根拠エピソードを一行ずつ書きます。
その後の二分で数字と行動を付け足します。
残りの一分で学びと転用を書き、一分で伝え方の秒数別テンプレに落とし込みます。
タイマーを使い、区切りで必ずペンを止めます。
時間を味方にすると、モヤモヤがスッと晴れます。
先に決めるゴールの置き方
ゴールは「職種×価値×期限」で一行にします。
例として「法人営業で新規3社を四半期で受注、再現性のある獲得プロセスを定着」と書きます。
抽象語を避け、価値が伝わる名詞と数字を入れます。
ここを曖昧にすると後工程が全てボヤけます。
最初に鋭く決めておけば、後は当てはめ作業になります。
カチッとハマる感覚が出るまで言い換えを試します。
迷ったときの切り札
判断が止まったら「現場の一日」を想像します。
志望職種の人が朝から夜まで何を測られているかを書き出します。
営業なら「コール数」「商談数」「受注率」「客単価」「回収」。
企画なら「仮説の数」「検証サイクル」「学習の速さ」「関係者調整」。
エンジニアなら「リードタイム」「障害復旧」「コード品質」「レビュー文化」。
この“計測されるもの”に近い言葉が、評価キーワードの候補になります。
ふっと現実感が増したら正解に近い証拠です。
ステップ別の書き方
ゴール設定欄
ゴールは「誰にどんな価値をいつまでに」を一息で言える形に整えます。
面接官は成果の再現性を見ています。
期限のない目標は再現性の検証ができません。
「四半期で」「入社半年で」「インターン期間内で」のように時間を置きます。
価値は「売上」「費用削減」「体験向上」「リスク低減」の四象限で考えると漏れが減ります。
迷ったら「数字が動いたか」「意思決定が速くなったか」のどちらかで言い切ります。
キュッと締めた一行が、その後の全ての基準になります。
求める資質の抽出欄
ここは三つだけに絞ります。
多すぎると刺さらず、少なすぎると網羅性が落ちます。
抽出の手順は簡単です。
まず募集要項と社員インタビューから動詞を拾います。
「進める」「巻き込む」「やり切る」「深掘る」「設計する」などです。
次に似たものをグルーピングして、代表語に統一します。
最後に「測れる言い換え」を添えて完成です。
例えば「巻き込む」は「関係者○人の合意形成」「Slackスレッドの反応率」で測れます。
言葉の端にメジャーを付けるイメージです。
スッと数字に近づけると、面接での追加質問にも耐えます。
根拠エピソード欄
各キーワードに対し、一行で「状況→行動→結果」を置きます。
例を示します。
「新歓イベントの集客が前年比60%で危機。仮説を三つ立て、SNS広告×友人紹介の施策に集中。来場者を180%に回復。」
この時点では詳細を語りません。
一行に圧縮することで核が浮き上がります。
もしエピソードが不足しても、三つのうち二つでも大丈夫です。
不足分は後日追加すればよいのです。
パッと貼れる一行は、面接での口頭要約にも転用できます。
数字と行動の明確化欄
結果の数字は「前後比較」「割合」「速度」のいずれかで表します。
前後比較は「○→○」。
割合は「○%増」「○%削減」。
速度は「○日短縮」「○倍速」です。
行動は「頻度×継続×工夫」を添えます。
「週2回のABテストを6週間継続。仮説ノートで勝ち筋を記録。」のように書きます。
数字の源泉が伝わると、再現性の説得力が上がります。
キュッと短くても、芯が強くなります。
学びと転用欄
学びは「原則化」して一文でまとめます。
例えば「原因は必ず一つではない。効果の大きい上位二つに絞る。」です。
転用は「次に同じ状況が来たら、最初の一手は何か」を書きます。
「次回は初週から失注理由を分類し、週次で仮説を入れ替える。」のように具体にします。
ここがあると、面接官は「この人は伸びる」と判断しやすくなります。
スッと未来の行動まで見えるからです。
伝え方構成欄
秒数別に三つ用意します。
60秒版は「結論→根拠数字→学び」。
90秒版は「結論→状況→行動→結果→学び」。
120秒版は「結論→背景→課題設定→仮説→施策→結果→学び→転用」です。
実際の面接は持ち時間が読めません。
どの長さでも等価に伝えられるように準備します。
声に出して読むと、リズムの粗が見えます。
サッと音読して、詰まる箇所を削ります。
次アクション欄
明日のタスクを三つだけ書きます。
例えば「社員インタビューを三本読む」「失注理由の分類表を作る」「仮説ノートのフォーマットを複製」です。
迷ったら「5分でできる行動」に分割します。
行動のハードルを下げるほど、継続率は上がります。
カレンダーに時間を置き、アラームで自分を助けます。
ピッと鳴ったら、手を動かします。
職種別サンプルの作り方
営業向けサンプル
評価キーワードは「仮説検証の速さ」「数字責任の耐性」「関係構築の継続力」とします。
根拠エピソードは次の一行にします。
「協賛獲得が停滞。仮説を三つに分解し、トーク案を毎週ABテスト。四週でアポ率を6%→12%。」
数字と行動では「1日30コールを20営業日継続。録音を週次レビュー。」と書きます。
学びは「勝ち筋を特定したら、勝ち要因を切り出して再現。」とします。
転用は「新規市場では初週から仮説を最低三本用意。」です。
60秒版は「結論から数字→行動→学び」でまとめます。
スッと営業の現実に接地した語りになります。
企画・マーケ向けサンプル
評価キーワードは「課題設定力」「顧客理解」「実験設計」です。
根拠エピソードは「新歓施策の効果が鈍化。来場者の意思決定段階を三分割し、LPを段階別に差し替え。CVRが2.1%→4.8%。」と置きます。
数字と行動は「ユーザーインタビュー10名。仮説メモを週3回更新。GAで離脱箇所を特定。」にします。
学びは「課題がずれると全ての施策が薄まる。」です。
転用は「次回もファネルごとに仮説を三本立てる。」にします。
90秒版の話型で、課題と検証の往復を落ち着いて語ります。
キュッと論点が立つ構成です。
エンジニア向けサンプル
評価キーワードは「可用性への責任」「リードタイム短縮」「チーム開発」です。
根拠エピソードは「学園祭アプリの障害対応。監視を導入し、遅延のボトルネックを特定。平均応答時間を820ms→220ms。」にします。
数字と行動は「エラー率を0.9%→0.2%。デプロイを週1→日次。レビューをペアで実施。」と記載します。
学びは「計測なくして改善なし。」です。
転用は「本番前にSLOを決める。」にします。
120秒版で、背景から改善の設計までを整理して話します。
スッと技術とビジネスの接点が見える内容にします。
コンサル向けサンプル
評価キーワードは「仮説思考」「定量分析」「ステークホルダー調整」です。
根拠エピソードは「学内プロジェクトで売店の在庫最適化。SKUをABC分析して発注頻度を再設計。在庫回転を1.6→2.4。」とします。
数字と行動は「POSデータ5000件をクレンジング。週次で店長と合意形成。」を添えます。
学びは「正しい問題を選ぶのが半分。」です。
転用は「限られたデータでも意思決定できる指標を先に決める。」です。
60秒版で端的に締めます。
キリッとロジックが立つ語りになります。
事務・総務向けサンプル
評価キーワードは「正確性」「段取り」「改善提案」です。
根拠エピソードは「部費申請の遅延が常態化。チェックリストと締切リマインドを導入。遅延率を35%→8%。」にします。
数字と行動は「フォームの入力項目を12→7へ削減。月末リマインドを二段階化。」と書きます。
学びは「人は忘れる。仕組みで思い出させる。」です。
転用は「定常業務はミスの出やすい箇所から先に型化。」にします。
90秒版で実務の安定運用をアピールします。
スッと堅実さが伝わります。
よくあるつまずきと修正のコツ
キーワードが抽象的
「主体性」「協調性」のような抽象語だけだと、相手は評価できません。
修正は「動詞化→計測化→過去事例の紐付け」です。
主体性は「自ら課題を定義して提案する回数」。
協調性は「関係者が合意した回数やリードタイム短縮」です。
実務の行為と言い換えた瞬間、面接官の目が変わります。
ふわふわした言葉から、カチッと測れる言葉へ置き換えます。
エピソードに数字がない
数字は「前→後」「割合」「速度」のどれかで作れます。
前の状態が分からなければ、同時期の他チームや前年を基準にします。
割合が難しければ「回数」「頻度」「継続期間」を置きます。
速度は「準備にかかる時間」「意思決定までの時間」が使えます。
ゼロからでも、周辺の指標で代替は可能です。
スッと一つ置けば、信頼度は跳ね上がります。
失敗体験の語り方
失敗は「安全運転」ではなく「挑戦」の証として語ります。
型は「狙い→失敗→検証→修正→結果→学び」です。
失敗のまま終わらせず、検証と修正で締めます。
この構造だと、逆算シートの学び欄と直結します。
面接官はプロセスの健全性を見ています。
キュッと反省で終わるより、次の勝ち筋で終えるのが効果的です。
企業研究が浅い
企業研究は「事業×職種×数字」で最小限に要点を押さえます。
事業は収益源と成長領域。
職種は一日の仕事と評価指標。
数字は直近のKPIや市況の変化です。
この三点が分かれば、評価キーワードの選定がズレにくくなります。
深堀りは内定が近づいてからでも間に合います。
まずは逆算シートに必要な範囲でサッと集めます。
面接での活用法
1枚でES・ガクチカ・志望動機を連結する
逆算シートは単なるメモではなく、選考資料の母体です。
ESでは「ゴール欄」と「評価キーワード」を志望動機の骨にし、「根拠エピソード」をガクチカの核に据えます。
面接では同じ素材を秒数別の話型で出し入れします。
同じ言葉を繰り返す不安があるかもしれませんが、評価者は面ごとに変わるため、一貫性はむしろ加点です。
とはいえコピペ感が出ると単調です。
「学びと転用」を企業別に一行だけ差し替えると、相手への解像度がグッと上がります。
面接官の「この会社でどう活きるのか」に先回りするのが狙いです。
想定質問に展開する「質問マップ」
逆算シートの各欄を起点に、派生質問を3本ずつ用意します。
例えば「数字と行動欄」からは「その数字の妥当性」「再現性の担保」「他メンバーとの差」です。
「学びと転用欄」からは「別の状況なら初手は」「失敗時の対処」「前提が崩れたときの切替」。
マップ化のコツは動詞で書くことです。
「検証した」「巻き込んだ」「設計した」のように並べると、追問の導線がスッと見えます。
ぶらさがり質問に備えるほど、当日の心拍は落ち着きます。
集団面接・個人面接・最終での使い分け
集団面接では「結論→数字→学び」の60秒版を多用します。
持ち時間が短く、比較されやすい場なので、評価キーワードと数字のセットで“輪郭”を先に出します。
個人面接は90秒版を軸に、追問次第で120秒に伸ばします。
相手が深掘りしたい箇所に合わせて、根拠の粒度を上げ下げします。
最終面接は「転用」と「意思決定」を強めます。
「この会社を選ぶ理由」と「入社後30日の計画」を、ゴール欄と接続して語ると、経営層の関心にフィットします。
ふと迷ったら、評価キーワードに立ち帰るのが安全運転です。
オンライン面接での視覚補助
オンラインでは逆算シートを画面横に縮小表示しておきます。
ただし読み上げは避け、視線の動きを最小化します。
合図や図示が許可されていれば、60秒版の骨子だけをホワイトボードに3行で書き、会話の道しるべにします。
禁止の企業もあるため、事前案内の範囲で運用します。
見せ方の工夫は便利ですが、主役はあくまで言葉の整流です。
スッと出てくる一文が最強の“資料”になります。
逆算シート・テンプレート(コピペOK)
記入テンプレート本体
ゴール欄:[職種×価値×期限]例)法人営業で四半期内に新規3社受注し、獲得プロセスを標準化。
評価キーワード(3つ):[例)仮説検証の速さ/数字責任の耐性/関係構築の継続力]。
根拠エピソード(各1行×3):
・KW1:状況→行動→結果。
・KW2:状況→行動→結果。
・KW3:状況→行動→結果。
数字と行動:前後比較/割合/速度+頻度×継続×工夫。
学び:原則化した一文。
転用:次回の初手を一文。
伝え方構成:60秒/90秒/120秒の骨子。
次アクション:明日の5分タスク×3。
<埋め方の例>
ゴール欄:SaaS新規開拓で四半期に受注3社、商談化率の仮説を標準化。
評価キーワード:仮説検証の速さ/数字責任の耐性/関係構築の継続力。
根拠エピソード:
・仮説検証の速さ:アポ率が6%で停滞。ヒアリング質問をABテストし、4週で6%→12%。
・数字責任の耐性:1日30コール×20営業日を継続。失注理由を週次で分類。
・関係構築:紹介経路を整備し、再来アポ比率を25%→38%。
数字と行動:録音レビューを実施、勝ちトークを台本化。
学び:効果の上位二つに集中するほど速度が上がる。
転用:新市場では初週から仮説を最低三本持ち、週次で入替。
伝え方構成:
・60秒=結論→数字→学び。
・90秒=結論→状況→行動→結果→学び。
・120秒=結論→背景→課題設定→仮説→施策→結果→学び→転用。
次アクション:社員インタビュー3本読む/失注分類表を作る/仮説ノートを作成。
10分バージョンの記入ルール
1分でゴール欄を言い切る。
2分で評価キーワードを3つに絞る。
3分でエピソードを各1行。
2分で数字と行動を補強。
1分で学びと転用。
1分で伝え方の骨子を置く。
この順番を固定すると、毎回“同じ型”で速く仕上がります。
カチッと嵌る感覚が出たら、そのまま面接練習に移行します。
30分の磨き込みチェックリスト
抽象語を動詞化したか。
数字は前後比較/割合/速度のいずれかで表したか。
結果だけでなく再現性の源泉(行動の頻度・継続・工夫)を書いたか。
学びが「次の初手」に変換されているか。
伝え方の60・90・120秒版に矛盾がないか。
志望企業向けに「転用」一行を差し替えたか。
追問マップを3×3で用意したか。
読み上げたときに息継ぎが自然か。
ふと立ち止まったら、評価キーワードに戻って筋を通します。
具体例フルスクリプト(60秒/90秒/120秒)
60秒版(営業志望)
結論として、新規開拓で仮説検証を高速に回し、四週でアポ率を6%から12%へ倍増させました。
停滞の原因を「リストの質」「初回質問」「提案順序」に分け、毎週ABテストを実施。
1日30コールを20営業日継続し、録音を週次レビューで改善しました。
学びは、効果の上位二つに集中すれば速度が上がるということです。
入社後は同じ設計で新市場の立ち上げに再現します。
90秒版(マーケ志望)
結論から申し上げると、来場者の意思決定段階を三分割し、LPと導線を段階別に差し替えることでCVRを2.1%から4.8%へ改善しました。
背景に、新歓施策の効果鈍化がありました。
課題を「誰が、どこで、なぜ離脱するか」に再定義し、ユーザー10名にインタビュー。
仮説を三本立て、広告文言とLPを週3回更新しました。
結果、離脱の主因が「初回の不安解消」にあると判明。
FAQ強化と比較表の追加で踏み切りやすさを高めました。
学びは、課題設定がずれると施策全体が薄まること。
御社でもファネルごとに仮説を三本立て、週次で検証する運用を提案します。
120秒版(エンジニア志望)
結論は、監視とボトルネック特定を軸に学園祭アプリの応答時間を平均820msから220msへ短縮し、エラー率も0.9%から0.2%へ改善したことです。
背景として、ピーク時間帯の遅延で決済エラーが発生していました。
まずSLOを暫定設定し、遅延の指標を可視化。
課題を「DB負荷」「API待ち」「フロントの再描画」に分解しました。
仮説は、N+1とキャッシュ無効化が主因というもの。
施策として、クエリ最適化とキャッシュ戦略を導入し、CIに軽量ベンチを追加。
デプロイ頻度を週1から日次にし、ペアレビューで品質を担保しました。
結果、ピーク時でもSLO内に収まり、障害復旧時間も短縮。
学びは、計測なくして改善なしという原則です。
入社後はSLOを起点に、運用と開発を一体で回す仕組みづくりに貢献します。
シートを強くする情報収集の最短ルート
募集要項の動詞抽出テク
募集要項の名詞に線を引くだけでは情報は増えません。
見るべきは動詞と副詞です。
「推進する」「巻き込む」「自走する」「素早く」などの言葉は、評価キーワードの原石です。
近接語をまとめ、代表語に置き換えた上で「測定子」を添えます。
たとえば「推進する→合意形成までのリードタイム」「巻き込む→関係者の参加率」のように変換します。
この一手で、逆算シートが一気に定量へ寄ります。
社員インタビューから逆算するメモ術
読みっぱなしは無駄に近いです。
「一日の流れ」「評価される瞬間」「失敗談」の三列で要点を書き出します。
評価される瞬間に共通する行動を、あなたのエピソードの動詞へ写経します。
反論として「他社にも当てはまるのでは」という不安が出ます。
そこで「事業モデル特有の制約」(例:販売単価/回収構造/規制)を一行メモし、転用の一文を会社別に微修正します。
ふとした差し替えが刺さり方を変えます。
OBOG訪問で聞く3問
一つ目は「評価が分かれる場面はどこか」。
二つ目は「新人が最初に失敗するポイントは」。
三つ目は「配属1カ月で信頼を得た行動は」。
この三問は逆算シートの「学び」「転用」「次アクション」に直結します。
会話の最後に「今日の話を30字で言い表すと」とお願いすると、要点がキュッと絞れます。
シートの品質を底上げするショートカット集
言い換え辞書(抽象→具体)
主体性→自分で課題を定義し、提案を提出した回数。
協調性→関係者の合意形成までの平均リードタイム。
論理的→仮説本数と検証頻度。
粘り強さ→同一施策の検証サイクル数。
成長意欲→振り返りの更新頻度と改善反映率。
この辞書を見ながら文章を動詞主語にすると、面接の追問が怖くなくなります。
数字を作るミニ指標アイデア
事前準備時間の短縮分。
会議の決定率。
ToDoの前日完了率。
一次情報の収集数。
検証サイクルの週次回数。
レビューで採用された提案比率。
関係者の参加人数。
再来訪率。
返信速度。
エスカレーション件数の減少。
これらはどの職種でも転用しやすく、逆算シートの「数字と行動」を太くします。
多ければ良いわけではないため、効果の大きい二つに絞り込みます。
時短ツールの使い方
スマホのタイマーで区切る。
録音アプリで自分の60秒版を収録し、フィラー語を削る。
スプレッドシートでABテスト表を作り、勝ち要因を列化する。
メモは一枚、道具は三つまでに制限すると、準備の摩擦が減ります。
サクッと始めて、終えたらすぐ送信のサイクルに乗せます。
よくあるQ&A
エピソードが乏しい
「小さな改善」を集めれば十分です。
ポスターの貼り替え順を最適化して作業時間を20分短縮、などでも立派な成果です。
反論として「規模が小さい」と思うかもしれません。
面接官が見るのは規模ではなく、課題設定と再現性です。
数字化と学びの一文があれば、評価軸に乗ります。
バイト経験しかない
むしろ最適です。
来客数、回転率、在庫ロス、クレーム率など、数字が豊富です。
「店長が何を気にしているか」を起点に、評価キーワードを抽出します。
「回転率を上げる」「原価を下げる」「CSを上げる」に接続すれば、即ビジネス言語になります。
ふっと視点が変わるだけで、語れる資源は増えます。
サークル・研究に専念で話が地味
成果を「再現可能なプロセス」に変換します。
研究なら仮説の立て方、実験計画、検証の頻度が評価ポイントです。
サークル運営なら企画のPDCAやメンバーの巻き込みを数字化します。
華やかさより、仕組みの設計力が伝われば評価は安定します。
話が長くなる
60秒版の結論一文を“お守り”にします。
最初の10秒で結論と数字を言い切り、追問が来たら90秒版に展開します。
言葉が渋滞したら、評価キーワードに一度戻して整えます。
スッと息が整い、情報量の密度が上がります。
面接当日のミニ運用
ポケット版逆算シート
A6サイズに「ゴール」「評価キーワード」「60秒版」「学び」をだけ印刷し、会場までの移動で音読します。
当日は新規記入をしない代わりに、語尾の調整だけを行います。
準備を増やすより、出力を整えるほうが効果的です。
フィードバックの回収
面接直後、質問を三行だけメモします。
「どこが深掘りされたか」は次の面接での改善点です。
質問の偏りが出たら、逆算シートの該当欄を太らせます。
この即日反映が合格率を押し上げます。
模擬面接の回し方
15分ショート回
5分で60秒版×3回、5分でフィードバック、5分で修正を回します。
録音を聞き直し、冗長な表現を削ります。
「名詞→動詞」「抽象→具体」「感想→数字」の三変換を合図のように使います。
キュッと密度が上がります。
30分スタンダード回
冒頭に90秒版を提示し、相手に追問をもらいます。
追問マップを見ながら120秒版へ伸ばし、最後に60秒版で締めます。
この三段変速で、どの面接時間にも適応できます。
逆算シートの応用:部署配属後の30日計画
入社後へのブリッジ
逆算シートは内定後も使えます。
配属初月の「観察→仮説→施策→共有」の枠に当てはめ、30日計画を作ります。
面接で語った転用を、そのまま現場で実行に移すのです。
評価者に「言行一致」が伝わり、信頼の立ち上がりが速くなります。
30日計画の雛形
1週目:観察と計測の設定。
2週目:仮説の列挙と小さな検証。
3週目:勝ち筋の深掘りと標準化の試作。
4週目:結果共有と次四半期の提案。
この流れで新人の“成果の種”を見せられます。
スッと現実に接続できるのが、逆算シートの強みです。
まとめ
逆算シートは、内定から逆向きに道筋を引く一枚の設計図です。
「職種×価値×期限」を一行で決め、評価キーワードを三つに絞り、エピソードを数字で支えるだけで、自己PRと志望動機とガクチカが一本に貫通します。
さらに秒数別の話型と質問マップを用意すれば、どの形式の面接でも“同じ自分”を安定して提示できます。
今日の一歩は、テンプレートをそのまま写し、10分で骨格を作ることです。
明日は30分の磨き込みで、抽象語を動詞へ、感想を数字へ、成果を再現性へと変換してください。
そして週に一度、録音を聞き直し、60秒版の密度を少しだけ上げましょう。
小さな前進を積み上げれば、言葉は驚くほど強くなります。
さあ、一枚から始めてください。
あなたの次の一社に、整った“逆算”を届けにいきましょう。