リフォームの相談先として「工務店」と「リフォーム会社」のどちらが正解か、この一択で迷っている方は少なくありません。
とはいえ、答えは住まいの状態、工事範囲、予算、スケジュール、そしてあなたの「任せたい度」によって変わります。
本稿は、タイプ別の選び方と見極め方を具体的なチェックリストや質問例まで落とし込み、読後すぐ動ける形に整理しました。
見積書の読み解きや現場の見学ポイント、保証・契約の落とし穴までを一気通貫で解説するので、ムダな出費や後悔をぐっと減らせます。
「この規模なら工務店」「この条件ならリフォーム会社」という線引きも、事例を交えながら実務目線で提示します。
読み進めるうちに、自分に合う相談先が自然と浮かび上がるよう丁寧に道案内していきます。
工務店とリフォーム会社の基本の違い
工務店の特徴と得意領域
工務店は地域密着で大工職を中心とした施工力が強みです。
既存住宅の構造を把握しながら臨機応変に納まりを調整し、現場判断で細やかな仕上げに対応しやすいのが特長です。
たとえば築年数が古い木造戸建てで、壁をはがしたら想定外の下地が出てきた、といった場面でも現場での調整力が生きます。
価格は中間マージンが少ないぶん抑えられる傾向がある一方、営業・設計・コーディネートの専任体制が薄い場合は、施主側の意思決定負担がやや増えることもあります。
とはいえ、担当大工と会話しながら「ここは棚の高さをあと10ミリ下げたい」といった微調整をすっと通せる心地よさは大きな魅力です。
リフォーム会社の特徴と得意領域
リフォーム会社は営業・設計・インテリアコーディネーター・施工管理が分業され、窓口一本で進む体制が一般的です。
ショールームでの商品比較、3Dパースによる完成イメージの可視化、メーカーとの連携による保証の明確さなど、はじめての人でも進めやすい仕組みが整っています。
特に水回りの同時改修や内装一式など、標準化しやすい工事はスピード感と価格の見通しが立ちやすいのが利点です。
反面、会社によっては下請けへの再委託が多層化し、意思疎通にタイムラグが出ることがあります。
それでも「ワンストップで任せたい」「デザインやカラーをプロと詰めたい」人には、段取りの良さがじわり効きます。
よくある誤解と境界のあいまいさ
近年は工務店がデザインや提案力を強化したり、リフォーム会社が自社施工部隊を持ったりと、両者の境界は重なりつつあります。
名称だけで判断せず、「自社でどこまでやるのか」「誰が責任者か」「どの工程を外注するのか」をヒアリングすることが本質的な見極めです。
肩書きより体制、広告より実績、価格より仕様の整合性を見る意識が大切です。
表札で選ぶのではなく、あなたの案件に対する適合度で選ぶのが王道です。
タイプ別の選び方ガイド
予算優先タイプ
費用対効果を最優先する人は、仕様の標準化と工程の単純化が鍵です。
水回りの位置を動かさない、造作を減らす、既存利用を増やすといった設計方針で、見積はぐっと下がります。
工務店は中間コストが少なく細部の既存活用がうまい傾向があり、部分改修や小規模工事なら相性が良いことが多いです。
一方で複数メーカーの値引きやキャンペーンを横断活用したい人は、仕入れ力のあるリフォーム会社が有利になる場面もあります。
相見積もりは同一仕様・同一前提で揃えるのが鉄則で、床材の等級や下地補修の範囲など曖昧な要素を先に固定してから依頼すると比較が楽になります。
デザイン優先タイプ
空間の一体感や素材感、照明計画にこだわるなら、設計・コーディネートの力量が選定軸になります。
デザイン事例のテイストが自分の好みと一致しているか、図面とパースで完成像を詰められるかを確認しましょう。
意匠と納まりは表裏一体なので、造作家具や建具の精度が要です。
造作を現場で微調整できる工務店は強力ですが、コーディネーター常駐のリフォーム会社は素材サンプルと照明計画を一気通貫で束ねやすい利点があります。
「誰が最終のディテールを決めるのか」を最初に決めておくと、迷いがすっと減ります。
スピード優先タイプ
入居や出産、在宅勤務開始など締め切りが明確な場合は、工程を短縮できる体制が向いています。
既製品中心、標準仕様、解体後の変更最小化といったルールを先に合意すると、工程表が安定します。
複数職人の同時投入や並行作業ができる規模のリフォーム会社は、調整コストを内製化しやすくスケジュールリスクを下げやすいです。
ただし、既存不適合が出た際の現場判断は工務店が速い場合もあります。
「遅延時の意思決定ルート」と「代替案の在庫確保」を契約前に決めておくと、トラブルがぱっと減ります。
ワンストップ安心優先タイプ
打ち合わせの回数を減らし、保証の窓口も一本化したい人にはリフォーム会社がマッチします。
引き渡し後の点検スケジュールやメーカー保証の取り次ぎ、設備登録まで含めた「最後まで面倒を見る」姿勢を確認しましょう。
とはいえ、地域で長く続く工務店の定期訪問と素早い駆けつけは代えがたい安心感があります。
「家から30分以内で来られるか」「OB客のチャットグループやLINE運用があるか」といった日常の距離感も判断材料です。
価格と見積もりの見極め方
見積書のチェックポイント
見積書は「数量×単価」の積み上げと「諸経費」の内訳を分けて確認します。
解体・撤去・処分費、養生費、搬入出費、仮設費、産廃費、運搬距離などの名目が抜けていないかを見ます。
設備機器は品番で指定し、グレード差による価格差を可視化します。
床・壁・天井の下地補修は「想定範囲」と「追加時の単価」を明記します。
電気と給排水は「現状調査の結果による追加の可能性」を注記し、コア抜きや分電盤容量などの見落としを事前に合意します。
諸経費は一律率で計上されがちですが、現場管理費と共通仮設費を分けて説明を求めると、納得感がすっと上がります。
相見積もりの取り方と比較表の作り方
相見積もりは二~三社に絞り、同一仕様書で同時依頼します。
比較表は「金額」「工期」「担当体制」「保証」「過去事例の類似度」「現場の距離」を縦軸にして、セルに根拠をメモします。
面談後に仕様変更が出たら、全社に同じ変更をフィードバックし、最新版で再比較します。
価格だけでなく「質問への回答速度」「見積の根拠の示し方」「代替提案の質」を評価項目に入れると、相性が明確になります。
面倒に感じるかもしれませんが、ここを丁寧にやると後工程の手戻りがぐっと減ります。
値引き交渉の現実的ラインとNG
値引きは「仕様を変えずに金額だけ下げる」より「仕様の合理化で総額を下げる」ほうが健全です。
たとえば浴室の壁パネルを一面のみグレードアップにする、造作棚の枚数を見直す、巾木や見切材を既製品にするなどが現実的です。
NGは、着工直前の一方的な値下げ要求や、相手の原価を詮索して追い詰める交渉です。
信頼が崩れると現場の熱量が下がり、結果的に細部の配慮が薄れることがあります。
「コスト目標」「納期」「品質」の三角形のうち、何を優先するかを先に共有するのが賢いやり方です。
施工品質を見抜くチェック術
現場見学で見るべきポイント
工事中の現場見学は品質の“実力テスト”です。
養生の徹底、材料の置き方、工具の整頓、近隣への配慮掲示、喫煙ルールの順守など、基本動作が整っているかを観察します。
下地のビスピッチ、ボードの目地処理、配管の支持間隔、電線の結束状態など、仕上げ前の丁寧さは仕上げ後の美しさに直結します。
写真台帳の撮影・共有方法を確認し、壁内や床下の見えない部分こそ記録を残す運用があるかをチェックします。
現場は生き物なので、気になる点はその場で穏やかに質問し、回答の根拠と対応のスピード感を見極めます。
担当者への質問リスト
最初の面談で次の質問を投げてみてください。
「解体後に想定外が出たときの判断プロセスは」「近い規模と条件の最近の事例は」「職人の固定メンバー比率は」「写真台帳はどの段階で共有するか」「工程遅延時の代替案は誰が決めるか」。
回答が具体的で、根拠や前提条件まで言及できる担当者は信用に値します。
逆に曖昧な回答が続くときは、見積よりもコミュニケーションコストが跳ね上がる予兆です。
面談は“価格交渉”ではなく“共同作業者の見定め”と捉えると、会話の質がすっと上がります。
工期と工程表の読み方
工程表は「クリティカルパス」を確認します。
解体→配管・配線→下地→仕上げ→設備据付→クリーニング→引き渡しの流れの中で、遅れると全体が止まる工程がどこかを把握します。
マンションの場合は管理組合への申請期限、エレベーター養生の予約、騒音時間の制限がボトルネックになりがちです。
戸建てでは天候と外部工事、仮住まいの退去日が効いてきます。
「遅延が出た場合の優先順位」「並行できる工程」「休日出勤の可否」を前もって合意しておくと、日程調整がスムーズに進みます。
保障・契約・トラブル予防
瑕疵保証とメーカー保証の違い
工事に起因する不具合をカバーするのが瑕疵保証、設備機器の不具合をカバーするのがメーカー保証です。
保証書の有無、期間、対象部位、免責事項、連絡窓口を確認し、書面で保管します。
リフォーム会社は保証体系が整っていることが多い一方、工務店でも加入団体の保証制度を活用しているケースがあります。
判断軸は「誰が」「何を」「いつまで」保証するかが明確かどうかです。
口頭ではなく書面で合意し、保証開始日と検査の記録を写真台帳にひもづけると安心感がぐっと増します。
追加費用が発生しやすい場面
追加費用の典型は、解体後の下地不良、給排水や電気の想定外、寸法誤差による造作変更、マンションの管理規約対応です。
これらはゼロにはできませんが、単価表と意思決定ルールを先に決めておくことでコントロールできます。
「1日現場が止まるといくら」「職人の手配し直し費はどのくらい」など、時間コストも見える化すると、判断が速くなります。
見積の但し書きに“含む”“含まない”の線引きを丁寧に書いてもらうと、後日の解釈ブレが減ります。
契約書の条項で守るポイント
契約は価格の合意だけでなく、工程と品質の合意です。
支払い条件は「着手金」「中間金」「完了金」の割合、検査と支払いの連動、遅延時の取り扱いを明記します。
仕様書・図面・工程表・見積書を契約書に添付し、変更時は変更契約(追加覚書)を都度締結します。
著作権やデータの扱い、写真のSNS掲載許可、近隣対応の責任分担も取り決めると後腐れがありません。
小さな一文が将来の安心を大きく守るので、条項は一つずつしっかり読み込みましょう。
事例で学ぶミスマッチ回避
戸建て水回り一式のケース
築25年の戸建てで、キッチン・浴室・洗面・トイレを同時改修する事例です。
配管更新を含めるか否かで予算が大きく変わるため、床下点検口を開けて現状確認を行いました。
結果、給水管は更新、排水管は勾配に問題がないため既存利用と判断し、コストを最適化しました。
標準化された設備を組み合わせ、壁紙と照明でメリハリを付ける設計により、工期は短縮されました。
このタイプは、購買力と工程調整に強いリフォーム会社が進めやすい一方、配管ルートの現場判断に強い工務店でも好結果が期待できます。
マンション内装一新のケース
間取りは変えず、床材・壁紙・建具・照明を総入れ替えする内装中心のリフォームです。
管理規約に沿った申請と養生、騒音時間の管理が重要で、工程の段取り力が成否を分けます。
遮音等級の規定や二重床の納まり、共用部の養生手順を熟知した会社は、近隣トラブルを未然に防ぎます。
仕上がりの印象は照明計画で大きく変わるため、色温度と配灯をパースで確認し、サンプルで素材感を確かめました。
ショールーム連携が強いリフォーム会社は選択肢が豊富ですが、クラフト感のある造作を足したい場合は工務店の柔軟さが光ります。
実家の部分耐震改修のケース
家の一部に耐力壁を追加し、金物で補強する小規模の耐震改修です。
壁内に筋交いを入れる位置や既存の柱梁の状況は、現場の“開けてみないと分からない”要素が多いのが実情です。
このケースは、構造の読み替えと納まりの再設計が必要になるため、木造の現場力に長けた工務店が相性良好です。
事前に耐震診断図と補強計画を共有し、解体当日に現場で微調整する意思決定ルールを決めておくと、迷いがすっと消えます。
チェックリストとテンプレート
問い合わせメール文例
件名は「【リフォーム相談】物件住所/工事希望時期」で要点を明示します。
本文には「現住所」「物件の築年数と構造」「工事範囲の概要」「希望予算レンジ」「希望時期」「図面・写真の有無」「現地調査可能日」を箇条書きで記載します。
最後に「同一仕様で相見積もりを予定」「仕様と工程が確定後に契約検討」と透明性を記しておくと、やり取りがスムーズです。
返信期限を設定し、「〇日までに一次回答をいただけると助かります」と一言添えると、初動が早まります。
比較表テンプレ
比較表は次の列で作ります。
会社名/総額(税込)/内訳の透明性/工期(暦日)/担当体制(営業・設計・監督)/近似事例の有無/保証期間と範囲/現場からの距離(分)/質問への回答速度(時間)/代替案の質。
表の最終列に「メモ」を置き、担当者の発言で信頼を感じた点や、気になった点を短文で残します。
人の記憶は曖昧なので、当日の印象をさっと文字にしておくのがコツです。
契約前の最終チェック
最終確認は「仕様・図面・工程・支払い・保証・鍵の取り扱い・近隣対応・写真台帳の共有・ゴミの搬出ルート」を読み合わせます。
引き渡し後の取り扱い説明の有無、取扱説明書と保証書の保管方法、設備登録もその場で確認します。
連絡手段はメールとチャット、緊急時の電話番号まで明記します。
ここまで書面でそろえておけば、万一の行き違いも最小限に抑えられます。
現地調査で差がつく準備術
図面と寸法の取り方
とはいえ、プロの現地調査だけに頼ると情報の抜け漏れが起こります。
事前に簡易の平面図を用意し、部屋の内寸、窓の幅と高さ、サッシ下端の高さ、天井高、梁や柱の出っ張り寸法をメジャーで押さえておきます。
キッチンや洗面の給排水位置、分電盤の回路数、コンセントとスイッチの位置も図示すると打ち合わせが格段に進みます。
「ここだけは動かせない設備」「触らない収納」などの死守ラインを図面に色ペンで重ねると、双方の前提がずれません。
寸法はミリ単位で記録し、曖昧な箇所は「現地優先」と注記しておきます。
写真の撮り方と共有
ふと写真を撮るときは、同じ場所で「広角の全景」「正面の寄り」「寸法のわかるスケール入り」の三点セットを基本とします。
床下点検口、天井点検口、分電盤、ガス栓、給湯器、床暖房リモコンなどの設備類は品番ラベルも忘れずに撮影します。
写真はアルバム名に「日付_部位_目的」を付け、クラウドで共有すると質問の往復が減ります。
明かりが不足する場所は懐中電灯かスマホライトで影を避け、壁内穴や配管の分岐は角度を変えて複数枚撮ると判断精度が上がります。
現地で確認するチェック項目
さて現地調査当日は、靴箱や押入れの背板、点検口などの「隠れた情報」を遠慮なく見せてもらいます。
マンションなら共用部の搬入経路、エレベーターのサイズ、養生範囲、工事可能時間帯を現地で確定します。
戸建てでは敷地内の資材置き場、駐車位置、仮設トイレの要否、搬出入の動線を確認します。
匂いの出る工事や溶剤使用の有無、粉じん対策の機材、近隣への掲示物なども具体名で質問しておくと安心です。
住みながら工事のリアル
生活動線と仮設計画
住みながらのリフォームは、工程と仮設が最重要です。
キッチンを止める期間は何日か、仮設の流し台をどこに置けるか、冷蔵庫や電子レンジの仮設電源は確保できるかを細かく詰めます。
浴室改修中の入浴手段は近隣施設の利用券手配や簡易シャワーの仮設など、代替案を複線で用意します。
寝室と工事区画の分離、動線の交差を最小化するレイアウトは毎日のストレスを大きく減らします。
粉じん・騒音対策
解体時の「ガガガ」という音や粉じんは避けられませんが、対策次第で負担は軽くなります。
集じん機付き工具、負圧養生、出入り口の二重カーテン、毎日夕方の簡易清掃など具体の運用を契約前に確認します。
騒音は管理規約の制限時間に加え、在宅勤務の会議予定と照らして工程を微調整すると実害が減ります。
床の養生は厚みと固定方法まで指定し、段差解消スロープとスリップ事故防止の掲示もセットで依頼します。
ペットと子どもの安全対策
それでも心配なのがペットや子どもの安全です。
当日の隔離部屋、飛び出し防止の仮設ゲート、釘やカッターの落下物チェックを毎日ルーティン化します。
においの強い接着剤や塗料は低臭タイプや水性への切り替えを検討し、換気計画を事前に共有します。
散歩時間と工事の大きな音が重ならないよう、日々の時間割表を共有ボードに掲示してもらうと安心です。
補助金・減税・ローン活用の基本
省エネ・耐震の主要支援メニュー
補助金は制度名より「条件と時期」が肝です。
断熱窓や高効率給湯器、節水型トイレなど省エネ設備は、対象製品の型式と発注時点が適用条件を左右します。
耐震改修は事前診断と完了検査のセットが前提で、自治体の申請締切に工程を合わせる必要があります。
申請は写真台帳と領収書、型番証明の整合が必須なので、担当者と役割分担を早めに決めておきます。
リフォームローンとリースの考え方
実のところ、資金計画は工務店かリフォーム会社かを選ぶ以前の話です。
固定金利か変動か、担保の要否、連帯保証の範囲、繰上返済手数料など、数字以外の条件差が家計の自由度を左右します。
金利が上がりやすい時期は、着工前に審査を通して実行期限を管理し、契約変更が金消契約に及ぼす影響を押さえます。
設備は後から入れ替えやすい一方、断熱や配線はやり直しコストが高いので、投資の優先順位を資産価値目線で整理します。
申請とスケジュールの落とし穴
補助金は「後から申請不可」が定番の落とし穴です。
解体前の現況写真、製品の出荷伝票やラベル写真、施工中のプロセス写真など、時系列で揃っていなければやり直しになります。
申請の受付開始直後は混み合うため、図面と見積の確定を前倒しし、代替製品の型式リストを用意して品薄リスクに備えます。
採択結果待ちの間にできる準備作業を洗い出し、全体工程のクリティカルパスに干渉しないよう調整します。
地域差とマンション・戸建ての規約
管理規約でNGになりやすい事項
マンションは管理規約と使用細則が最優先です。
遮音等級、床材の工法、給湯器の容量、室外機の設置位置、共用配管の変更禁止など、知らずに進めると差し戻しになります。
事前相談書のフォーマットと提出期限、騒音時間、養生仕様、廃材搬出ルールを必ず取り寄せます。
工務店でもリフォーム会社でも、マンション実績が多い担当はここを即答できるので見極めもしやすいです。
近隣挨拶と工事掲示の作法
近隣挨拶は「工事内容」「工期」「作業時間」「連絡先」「緊急時の指揮系統」を書いた案内を配布します。
在宅率の高い時間帯に再訪し、留守宅には連絡先カードを投函するなど細やかさがトラブルを防ぎます。
掲示物は作業員の氏名掲示や禁煙マナー、搬入出日時の告知など、現場の透明性を高める項目を標準化します。
挨拶時の一言メモや要望のヒアリング結果を日報に記録する会社は、現場対応力が高い傾向にあります。
地方自治体の条例と騒音時間
地域によって騒音や廃棄物処理、道路占用の許可基準が異なります。
路上養生や一時的な仮置きの可否、搬入車両のサイズ制限など、警察署や役所との調整が必要になるケースもあります。
住宅密集地では早朝と夜間の作業を避け、週末の作業可否を住民と合意してから着工します。
地元に根差した工務店はこれらの勘所に強く、広域対応のリフォーム会社は社内の法規チェック体制が整っている傾向があります。
コミュニケーション設計で失敗を減らす
打ち合わせの議事録ルール
会議のたびに議事録を双方で確認し、未確定事項は「誰が」「いつまでに」「何で決めるか」を明記します。
チャットでの口頭合意は忘れやすいので、週次で「確定・保留・変更」の三分類に整理し、PDFで通番を付けて保存します。
写真やスケッチは議事録に貼り、ファイル名と撮影日をキャプションにします。
この運用だけで、言った言わないの齟齬がぐっと減ります。
仕様決定の締切を作る
それでも迷いがちなのが仕上げ材の決定です。
フローリング、クロス、タイル、カウンター、金物、照明、巾木など、決定の締切とサンプル返却期限を工程表に連動させます。
サンプルは実際の照明環境で朝昼夜の色味を確認し、ワンポイントで濃色を使う場合は掃除頻度への影響も検討します。
「迷ったら既製品」「目立つ面は質感優先」など自分なりのルールを先に決めておくと判断が加速します。
変更管理のフォーマット
変更は「変更申請書」に一本化し、図面の改訂履歴、金額差、工期影響、関連工程の再調整をワンセットで記録します。
軽微変更でも写真台帳と整合を取り、口頭の約束は当日中に文書化します。
差額精算は都度払いにせず、期末にまとめると支払いと検査の連動が管理しやすくなります。
変更が累積しやすい案件では「変更凍結日」を設定し、以降は原則不可にしてリスクを抑えます。
工務店向き・リフォーム会社向きの判定フローチャート
テキスト版フロー
まず「工事範囲は小規模か中大規模か」を決めます。
小規模で既存活用が多いなら工務店優位の可能性が高いです。
次に「デザインとコーディネートをがっつり詰めたいか」を自問します。
詰めたいなら提案体制が厚いリフォーム会社を第一候補に置きます。
「工期の締切が絶対か」を確認します。
絶対なら複数職種の同時投入がしやすいリフォーム会社が有利です。
「解体後の現場判断が多そうか」を推定します。
多いなら大工主導の工務店が光ります。
最後に「保証窓口を一本化したいか」を考えます。
一本化したいならリフォーム会社、御用聞き的な長期伴走を期待するなら地域工務店が向きます。
よくあるQ&A
相見積もりは何社まで。
二~三社が現実的です。
四社以上になると自分の意思決定コストが増え、仕様の統一管理が崩れやすくなります。
比較は同仕様・同前提で、差異は赤字でハイライトします。
予算オーバー時の優先順位は。
配管や断熱、電気容量などの「後から触りにくい領域」を最優先に確保します。
次に毎日触れる面材と金物、最後に装飾的な要素を調整します。
照明は器具のグレードを落とすより配灯計画を工夫したほうが満足度が維持しやすいです。
小工事の依頼はどちらに。
手すり一本、建付け調整、コーキング打ち替えなどは、地域工務店や住設に強い店舗型リフォーム会社でも対応できます。
将来の大規模工事を見据えるなら、今回の小工事から関係づくりを始めるのも賢い選択です。
顧客管理が丁寧な会社は小工事でも写真台帳と報告書を出してくれます。
引き渡し後のメンテ運用
定期点検のスケジュール
引き渡し直後は初期不具合が出やすい時期です。
一か月、三か月、半年、一年の簡易点検を提案し、必要に応じて項目を調整します。
設備はフィルター清掃やパッキン交換の周期をカレンダー登録し、シーズン前にセルフ点検を実施します。
木製品の含水率による反りや割れは季節の影響もあるため、経過観察の基準を共有します。
取説・保証書・写真台帳の保管法
取扱説明書と保証書はデジタル化し、クラウドで「設備名_型番_購入日」のフォルダに保管します。
写真台帳は「解体前」「施工中」「完了後」に分け、検索しやすいラベルを付けます。
メンテ履歴は年月日と担当者、対応内容、次回の観察ポイントを短く記録します。
これだけで保証対応の連絡が驚くほどスムーズになります。
不具合の切り分けと連絡テンプレ
不具合は「機器の故障」「施工の不具合」「使用上の問題」に切り分けます。
連絡テンプレは「発生日」「場所」「症状」「再現条件」「写真と動画」「緊急度」の六点を揃えます。
水漏れや漏電など緊急性の高い事象は、一次止水やブレーカー遮断の手順を家族で共有します。
夜間連絡先と翌営業日の対応窓口を事前に確認しておくと安心です。
まとめ
リフォームの最適解は、会社の看板ではなく「あなたの条件」との相性で決まります。
工務店の現場力と小回りの良さ、リフォーム会社の提案と段取りの強さは、いずれも頼もしい武器になります。
だからこそ、現地調査の準備、相見積もりの統一、工程と変更管理、保証の書面化という四つの軸を丁寧に整えてください。
そのうえで、解体後の想定外に柔軟に向き合えるパートナーを選べば、予算も工期も仕上がりも安定します。
次の一歩は、この記事のチェックリストを使って二社へ同一仕様で相談メールを送ることです。
深呼吸して、理想の暮らしを言葉にし、あなたの味方になってくれる一社と対話を始めましょう。
きっと「頼んでよかった」と思える着地にたどり着けます。