お金・節約

IHとガスコンロ、結局どっちが安い?調理法で変わる光熱費

お湯を沸かす、炒める、コトコト煮込む――同じ料理でも、IHとガスでは「かかるお金」が静かに違ってきます。
とはいえ広告の「IHは効率が良い=安い」や「ガスはランニング最強」といった断片情報だけでは、家の料金表に当てはめたときの実額は見えません。
本稿では、家庭の電気料金と都市ガス(+LPガス)の“いまの”単価を同じ土俵に乗せ、代表的な調理シーンごとに光熱費を具体計算します。
さらに、鍋や火力の使い方でコストがどこまで上下するか、実務的な節約テクも整理。
キッチンで「シュン」と湯気が立つ瞬間、どっちが安いかを自分の家計で判断できる状態に導きます。

IHとガス、結局どっちが安い?結論の前に「同じ物差し」をそろえる

単価の土俵合わせ(電気1kWh=ガス何m³か)

電気はkWh、都市ガスはm³で請求されます。
比較には、都市ガス1m³の熱量をkWhに換算します。
日本の都市ガス13Aは標準熱量が約45MJ/m³で、kWh換算すると45÷3.6=12.5kWh相当です。
つまり「ガス1m³=約12.5kWh分の熱エネルギー」です。

機器の“効率”も加味する

加えたエネルギーがどれだけ鍋に届くか=熱効率も大差があります。
代表値としてIHは約90%、最新式ガスコンロは約56%前後が目安です。
この差は省エネ性能カタログや電力会社の解説でも繰り返し示されます。

「実効単価」=単価÷効率で考える

料理に実際に届いた1kWhあたりの費用は、電気なら「電気単価÷IH効率」、ガスなら「(ガス単価÷12.5)÷ガス効率」で求められます。
この実効単価で比べると、同じ“仕上がり”を得るのにどちらが安いかが明確になります。

まずは“いまの相場観”を押さえる

電気料金の目安(従量電灯)

東京電力の規制料金「従量電灯B」は段階制で、代表的に第1段階29.80円/kWh、第2段階36.40円/kWh、第3段階40.49円/kWhが目安です。
月ごとに燃料費調整や国の料金支援で前後しますが、仕組みとしてはこの段階単価に調整額が加減されます。

都市ガスの目安(東京ガス)

東京ガスの一般契約は使用量によってA~Fの表が適用され、検針月の基準単価例としてB表147円/m³前後、A表で170円台といった水準が示されます。
単価は原料費調整制度により毎月動き、国の負担軽減で一時的に値引きされる月もあります。

LPガス(プロパン)の相場

LPガスは自由料金で地域差が大きく、全国平均は1m³あたり700円前後という統計がよく用いられます。
都市ガスより単価が高いため、後述の実効単価ではIHに軍配が上がりやすくなります。

代表シーンの光熱費を「実額」で比べる

1Lの水を20℃→100℃に沸かす

必要な熱量はQ=mcΔT=1kg×4.186kJ/kg・K×80K=約334.9kJ=0.093kWhです。
これを効率で割り、各単価を掛けます。

IH(効率0.90)の電力量=0.093÷0.90=0.103kWh。
従量電灯Bの第1~第3段階の費用はそれぞれ約3.08円、3.76円、4.18円です。

都市ガス(効率0.563)の必要熱量=0.093÷0.563=0.165kWh相当。
ガス使用量=0.165÷12.5=0.0132m³。
B表147円/m³なら約1.94円、A表176円/m³でも約2.33円です。
この条件では都市ガスが安い結論になります。

中華の炒め物(中火~強火5分)

仕上がりの“必要熱”を仮に0.15kWhと置くと、IHは0.15÷0.90=0.167kWhを買えばよく、第2段階36.40円/kWhなら約6.07円。
都市ガスは0.15÷0.563=0.266kWh相当=0.0213m³で、B表147円/m³なら約3.13円。
火力が要る短時間調理でも都市ガスが有利です。

煮込み30分(弱~中火)

必要熱を同じ0.15kWh相当で置けば、上の計算と同じ結果になり、原単価差がそのまま効いて都市ガス優位です。
ただし、IHの“ごく弱火”や保温を活かし、蓋と断熱で逃げ熱を抑えると必要熱そのものを下げられるため、差は縮みます。

夜間単価やオール電化プランだと?

夜間が22円/kWh級のプランなら、IHの実効単価は22÷0.90≒24.4円/“鍋到達1kWh”。
都市ガスB表は(147÷12.5)÷0.563≒20.9円/“鍋到達1kWh”。
差は小さくなりますが、なおガスがやや有利という見立てになります。
プラン・月次調整で逆転するケースはあり、請求明細で自宅単価を使って再計算してください。

LPガス世帯なら結論が逆になる

LPガスを700円/m³とすると、熱の原単価は700÷12.5=56円/kWh。
実効単価は56÷0.563≒99.5円/“鍋到達1kWh”で、IHの30円/kWh台(÷0.90≒33円)を大きく上回ります。
LPガス地域では、調理コストの観点だけならIHが圧倒的に有利です。

「効率が高いIHのほうが安いはず」への反論と整理

効率と単価、どちらが“効く”か

IHは鍋への伝達が非常に上手い反面、電気そのものの単価が都市ガスより高い場面が多いのが実情です。
結果として、都市ガス地域では“効率の差<単価差”となりやすく、実額はガス有利になりがちです。
熱効率の代表値はIH約90%、ガス最新機種で約56%という差ですが、単価が倍違えば帳消し以上になる――これが数字で見た現実です。

とはいえIHが有利になる条件も確実にある

LPガス地域、夜間割安の時間帯、A表適用などでガス単価が上がる月、あるいは保温調理中心の献立ではIHの勝ち筋が増えます。
また、夏季のキッチン環境では、IHは放熱が少なく空調負荷を抑えやすい副次効果もあります。

調理法別コスト最適化テク

沸かす

湯は「蓋」でコストが下がります。
1Lを沸かす熱量は0.093kWhと固定で、逃げ熱が減るほど“必要熱”そのものが縮むためです。
パスタなど大量に沸かすなら、IHは鍋底全面が当たる大径鍋を使う、ガスは炎がはみ出さない径の鍋を選ぶだけでロスを抑えられます。

炒める

鍋底とヒーター面の密着が命です。
IHは反りの少ない厚底パンが有利で、1~2分の高火力後は早めに出力を絞るのがコツです。
ガスは炎先端が鍋底ちょうどに当たる火加減が最適で、はみ出した炎はそのままロスになります。

煮る・保温する

IHは“ごく弱火”の制御が得意で、温度一定の保温に強みがあります。
ガスは五徳やフレーム部が常時暖まり続けるため、長時間の弱火ではロスが蓄積しがちです。
どちらでも「蓋+落とし蓋+保温鍋」の合わせ技が一番効きます。

焼く(フライパン・グリル)

強火を長く当てる焼きでは、都市ガスの単価優位が効きやすいです。
ただしIHグリルや高出力IH(3.0~3.2kWクラス)なら“短時間で焼き切る”戦略が成立し、トータルの必要熱を圧縮できます。

家・家計ごとの最適解を“自分で”出す手順

手順1:明細から単価を拾う

電気は最新の請求明細や料金ページで、自分がはまる段階単価と燃料費調整の有無を確認します。
都市ガスもA~F表の単価と当月の調整単価を確認します。
月ごとに少しずつ動くので、年に数回は見直しましょう。

手順2:実効単価を算出

IH実効単価=(自宅の電気単価)÷0.90、ガス実効単価=(ガス単価÷12.5)÷0.563を電卓で計算します。
LPガスの場合はガス単価が大きいので、IH優位になることがほとんどです。

手順3:料理の“必要熱”の感覚を持つ

お湯1Lの沸騰は0.093kWh。
炒め物5分は0.1~0.2kWh相当、煮込み30分は0.1~0.2kWh相当と覚えておくと、概算がすぐ出せます。
狙いは厳密な学術値ではなく「家計の意思決定に十分な精度」です。

手順4:鍋と火力を最適化

蓋の活用、底の平らな厚手鍋、炎のはみ出し防止、短時間高火力→早めの絞り。
この4点セットだけで、必要熱そのものを1~2割圧縮できます。
IHでもガスでも効く“横断テク”です。

「機器スペック」も費用に効く

出力の目安

家庭用IHは主力が3.0kW前後、機種によっては3.2kW。
都市ガスの強火力バーナーは4.2kW程度が一般的です。
“瞬発力”の違いは調理時間短縮に効き、トータル必要熱の圧縮=費用減につながります。

グリルや多口同時使用の注意

多口を同時に高出力で使うと、IHは自動で出力シェアされる機種が多く、ガスは排気熱が増えて周囲が暑くなります。
いずれも「一品ごとに段取りして順番に仕上げる」ほうが光熱費は下がります。

価格が“いま”動く要因も知っておく

燃料費調整と国の負担軽減

電気もガスも、原料市況で毎月の調整が入ります。
足元でも国の電気・ガス料金支援が段階的に適用され、月により値引き単価が変動します。
家計インパクトは無視できないので、直近の告知は必ずチェックを。

だから「自宅計算」が最強

ネットの平均値や他地域の口コミより、あなたの明細が正解です。
本稿の式に“自宅単価”を入れて、よく作る料理で2~3ケース試算してみてください。
体感と請求額の差が小さくなり、無理のない節約に直結します。

いますぐできる10の節約ワザ(味は落とさず、必要熱を削る)

ふた・落とし蓋・断熱の三点セット

湯や煮物は「ふた」がベース。
落とし蓋+厚手鍋+保温カバーまで入れると、弱火時間を短縮できます。

大きすぎる鍋を選ばない

内容量に対し鍋が大きいほど空気も火も無駄を温めます。
パスタは深型、味噌汁は片手鍋など、容量に合わせるだけでロスは減ります。

予熱と余熱を使う

炒め物は最初だけ中~強火、その後は早めに弱める。
煮物は沸騰→弱火数分→毛布保温でも味は入ります。

同時仕込み・作り置き

同じ食材は一度に下茹で・下味まで。
加熱回数をまとめるだけで必要熱の“固定費”を圧縮できます。

ここまでのまとめ(中間決算)

都市ガス地域の“平均的な月”ならガスが有利

IHは効率で勝つが、単価差で押し返されやすい。
お湯を沸かす、炒める、煮る――代表シーンの概算では、都市ガスが1~数円/回ほど安くなることが多いです。
ただし夜間割安やA表適用、LPガス地域など条件次第で逆転も普通に起こるため、式に自宅単価を入れて判断するのが正攻法です。

「手元の工夫」が最後の差を決める

鍋選び、蓋、火力の絞り、段取り。
どれも今日からでき、味もスピードも落とさずに“必要熱”を削れます。
単価は月ごとに動くため、まずは今週の献立ひとつ分だけでも計算→実行→明細で答え合わせ、の小さなPDCAを回してみてください。

ケーススタディで見る「うちの台所」最適解

都市ガス×従量電灯の一般家庭

都心の2〜4人世帯、都市ガスと従量電灯Bを利用する前提で考えます。
平日は味噌汁や炒め物、週末は煮込みやオーブン料理という想定です。
この場合、短時間の強火と1L前後の湯わかしは都市ガスの単価優位が効きやすく、1回あたり数円の差でガスが安くなりがちです。
ただし、弱火で長く温度キープする煮込みはIHのほうが“必要熱”を抑えやすく、トータルでは拮抗します。
結論として、日々のベースはガス、仕込みや保温はIHに振る“使い分け”が最小コストに近づきます。

LPガス×従量電灯の戸建て

郊外の戸建てでLPガス、電気は従量制というケースです。
LPガスは単価が都市ガスより高く出やすいため、同じ料理ならIHの実効単価が下がりやすい構造です。
沸騰、炒め、焼き物でもIHが優位になる場面が多く、グリル料理はオーブンレンジや魚焼きグリルの電気モードへ寄せると効果的です。
強い直火が欲しい中華は週末だけカセットコンロを併用し、普段はIH主体に倒すのが合理的です。

オール電化×時間帯別料金のマンション

夜間単価が下がるプランでは、IHの“夜仕込み”が家計に効きます。
出勤前に具材を切って冷蔵、帰宅後に加熱は最小限、寝る前に保温鍋で仕上げという流れにすると、割安時間帯へ熱需要を移せます。
朝の湯わかしは電気ケトルを併用し、昼間の高単価帯での加熱を避けるのがコツです。

一人暮らし×自炊は少なめ

調理回数が少ないと、1回あたりの差が家計全体に与える影響は限定的です。
むしろ「水の量を減らす」「蓋を徹底する」「一度に2食分つくる」といった“必要熱の固定費”削減が効きます。
IHでもガスでも、電子レンジを下ごしらえに活用すると火入れ時間が半分以下になることが珍しくありません。

子育て世帯×週末まとめ調理

週末に3品を同時進行で仕込むなら、IHは出力制御で相互干渉が起こる機種がある点に注意します。
一方、ガスは同時強火でキッチンが暑くなりやすく、夏場は空調負荷が増えがちです。
結論は“段取りの勝利”で、切る→下茹で→本加熱→余熱で仕上げる順にすると、どちらの熱源でもトータルの必要熱を削れます。

鍋・フライパン選びで変わる「必要熱」

材質で選ぶ

アルミは熱伝導が良く立ち上がりが早い一方、蓄熱は控えめです。
ステンレス多層は熱ムラが少なく保温しやすいので、煮込みや弱火キープに向きます。
鉄は蓄熱量が大きく、炒めの“当たり”が出やすい反面、余熱で火が入りやすいので出力を早めに落とすのが鉄則です。
銅はガスの弱火コントロールと相性が良いですが、IH非対応の個体があるため購入前に確認が必要です。

底の平面性と厚み

IHは“面と面の密着”が熱効率を左右します。
底が反った鍋は伝達が落ち、必要熱が増えます。
厚底は立ち上がりに時間がかかるものの、温度のふらつきが減り、結果的に過剰な火力を使わず済みます。
ガスは炎がはみ出さない径を選ぶだけで無駄な放熱を抑えられます。

サイズ選びの考え方

鍋が大きいほど内部の空気や金属を余計に温めてしまいます。
味噌汁2杯なら16cm、カレー4人分なら20cmなど、容量に合わせた“ちょうどサイズ”が基本です。
フライパンは食材が重ならず、なおかつ空白が少ない直径を選ぶと、加熱時間が短く済みます。

IHとガスの時短テクがコストを下げる

沸かすを速く・安く

湯は“蓋+目的量+待たない”が三種の神器です。
1L必要なら1Lだけを入れ、蓋をして沸点まで持っていくのが王道です。
パスタは別茹でを減らし、フライパンで浅めの湯に塩を入れて茹でると、必要熱と時間の両方を減らせます。

炒めるをムダなく

フライパンを空で温めすぎると、ただ空気を加熱しているだけの時間が生まれます。
油を入れたら30秒〜1分で具材を投入し、食材の水気をよく切ると温度低下を防げます。
IHは最初だけ強、すぐ中火へ、ガスは炎先端が鍋底に当たる位置を維持するのが定石です。

煮る・保温を科学する

最初に強めで沸騰させたら、火力は“ぎりぎり沸く手前”へ下げます。
落とし蓋で対流を作ると味は入りやすく、火力をさらに落とせます。
保温調理鍋や厚手の鍋で余熱を使えば、30分の煮込みが実働10分程度まで短縮できることも珍しくありません。

焼く・グリルを賢く

皮目パリッの焼き魚は、IHならフライパン+オーブントースターの併用、ガスならグリルの予熱短縮で攻めます。
肉は室温に戻し、塩を先に振って表面の水分を飛ばすだけで、加熱時間が数分縮みます。
厚切りは“表面焼き→余熱仕上げ”が鉄板で、中心温度を狙って上げるほどトータルの必要熱が減ります。

よくある疑問Q&A

IHは弱火が苦手って本当

昔の機種では段階制御が粗かったり、底が反った鍋で断続加熱になったりすることがありました。
最近は細かな出力調整が可能な機種が増え、厚底鍋を合わせれば“コトコト”の維持は容易です。
むしろ温度一定のキープはIHのほうが得意です。

ガスは効率が低いから損では

数値上の熱効率はIHが有利ですが、都市ガスの単価優位がその差を埋める場面が多々あります。
同じ仕上がりを得るための実効単価で比べるのが正解で、家庭の単価と献立で逆転も起こります。

電気ケトルは本当に得なのか

1回の必要熱が小さく、短時間で終わる用途に最適化されているため、鍋で湯を沸かすより安くなる場面が多いです。
ただし1.5L以上の大量湯には不向きで、パスタや鍋料理は鍋直沸かしのほうがトータルで早く、安いことがあります。

魚焼きグリルはコスパが悪いのか

予熱と庫内の金属加熱にエネルギーがかかるため、少量の一品では割高になりがちです。
フライパン+オーブントースター併用や、IHの両面焼きプレートを使うと小量調理のコストが下がります。

レンジ加熱は味が落ちないか

下ごしらえや再加熱の段階で使えば、味の核となる“焼き目”や“鍋肌の香り”を残しつつ総必要熱を減らせます。
香りをつけたい工程だけ直火や高火力IHを使い、中心温度の立ち上げはレンジに任せる分担がうまくいきます。

5日間ミニ実験で家計に効かせる

1日目:基準を測る

いつものやり方で、味噌汁、炒め物、湯わかしの時間を計測します。
同時にスマホで加熱スタートと終了を記録し、使った量や火力をメモします。

2日目:蓋と水量に注目

鍋の水量を“本当に必要な量”にし、必ず蓋をします。
前日との差を時間で比較すると、体感より大きな短縮が見えます。

3日目:余熱フィニッシュ

肉や野菜炒めは、色が変わったら早めに火力を落とし、余熱で仕上げます。
焦げ付きや生焼けがなければ成功です。

4日目:下ごしらえにレンジ

根菜はレンジで下茹で、鍋では味を入れるだけにします。
加熱合計時間が半分近くに減ることがあります。

5日目:結果を家計に換算

短縮できた分の分単価を、前述の実効単価にざっくり掛け算します。
1週間で数十円でも、月4週で数百円、年で数千円の節約になります。
味を落とさず短縮できた方法だけを“採用”し、継続の土台にします。

計算テンプレート(コピペ用メモ)

実効単価のメモ

IH実効単価=自宅の電気単価÷0.90。
ガス実効単価=(自宅のガス単価÷12.5)÷0.563。
LPガスはガス単価が大きいので、まずIH優位を疑って計算。

代表シーンの必要熱メモ

湯1Lを20℃→100℃=約0.093kWh。
炒め物5分=0.10〜0.20kWh相当。
煮込み30分=0.10〜0.20kWh相当。
焼き物強火10分=0.20kWh前後。

コスト概算の手順

必要熱÷効率=購入エネルギー量。
電気は“kWh×電気単価”、ガスは“kWh÷12.5×ガス単価”。
1回の金額が出たら、週回数×4で月額目安。

設備費・安全・快適性も含めた現実解

初期費用と更新費

ビルトインIHやビルトインガスの本体価格と工事費は数万円〜十数万円の幅があります。
更新サイクルや下取り、既存配線・配管の状況で実際の負担は変わるため、光熱費だけでなく“5〜10年の総額”で比較するのが堅実です。
グリルレスやシンプル機種を選ぶと初期費が下がり、回収期間が短くなります。

安全・掃除・夏冬

IHは可燃物の着火リスクが相対的に低く、天板がフラットで掃除が早いという時短効果があります。
ガスは停電時でも使える強みがあり、直火の調理感や香りの付き方で満足度が高い人も多いです。
夏はIHの放熱が少なく空調負荷が軽く、冬はガスの“部屋が暖まる副産物”が心地よく働くこともあります。
季節や生活動線で快適・安全の価値を加点し、単純な円/回の差だけで決めない視点が大切です。

献立別・即効テク早見表

スープ・味噌汁

具は細かく切り、沸騰までは強め、以降は“沸かさない弱火”で数分に留めます。
出汁パックは常温のうちに投入して抽出を前倒しすると、加熱時間が減ります。

パスタ

湯は少なめ、蓋をして強めに沸かし、差し水で吹きこぼれを抑えます。
IHは鍋底全面が当たる広底、ガスは深鍋で炎を閉じ込めるのがコツです。

野菜炒め

厚底フライパンを中火で予熱、油をなじませたら一気に炒め、色が変わったら火力を落として余熱で仕上げます。
水分の多い野菜はレンジで1分だけ下処理すると、仕上がりと時間が安定します。

焼き魚・ステーキ

焼き魚はフライパン+オーブントースターで“表面パリッ、中ふっくら”を狙うと、グリルより時短です。
ステーキは厚さに応じて“強火短時間→休ませる→仕上げ焼き”で中心温度をコントロールします。

家族のスケジュールに合わせた“熱の平準化”

平日夜のピークを崩す

帰宅直後のキッチン渋滞は、加熱の同時多発で効率が落ちがちです。
朝に切る、昼に漬ける、帰宅後に焼くの三分割で、ピークを平準化できます。
IHの予約機能やガスのタイマーを活用して、火の見張り時間を圧縮すると、結果的に“余計な強火”が減ります。

週末の仕込みと再加熱

煮物は週末にまとめて“濃いめ”に作り、平日は水や出汁でのばして再加熱に留めます。
再加熱は電子レンジ中心、香りづけだけ直火や高火力IHにすれば、味もコストも両立します。

調理後のひと手間が次回のコストを下げる

余熱管理

コンロオフ後の天板や五徳はしばらく熱を持ちます。
すぐに濡れ布巾で汚れを拭き取れば、次回の加熱で焦げ付きが減り、結果として洗いの湯わかしが不要になります。

鍋の乾燥と収納

底が濡れたまま加熱を始めると、まず水分を蒸発させる“無駄な熱”が必要です。
洗った鍋はすぐ拭いて吊るす、またはコンロ上で数十秒だけ乾燥させてから収納します。
小さな習慣が、毎日の数十秒を削ります。

まとめ

光熱費は「単価×使ったエネルギー÷効率」で決まります。
都市ガス地域では短時間の強火や湯わかしはガスが安く出やすく、LPガスや夜間割安プランではIHが逆転しやすいというのが現実解です。
とはいえ、蓋・水量・鍋選び・段取りの工夫で“必要熱そのもの”は誰でも減らせます。
まずは5日間のミニ実験で自宅のやり方を最適化し、実効単価のメモを手元に置いて、献立ごとにベストな熱源を選びましょう。
味は落とさず、時間も短く、支出は静かに下がります。
さあ、今晩の湯わかしから試してみませんか。

  • この記事を書いた人

Ken

2000年からWEB制作を開始し現在は会社員でWEBクリエイターとして勤務。 デジタルガジェット、WEB技術、投資、ライフハックに興味があり現在複数のブログを運営中

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