キャベツを丸ごと買ったはいいものの、気づけば野菜室の奥で眠っている、そんな経験はありませんか。
とはいえ、キャベツは切り方と保存、そして加熱の順番だけでぐんと扱いやすくなり、むしろ「万能の常備菜工場」に変わります。
本稿では、冷蔵・冷凍・作り置き・主食アレンジ・メイン・スープまで、毎日の台所で実際に回る“手間とコストにやさしい”使い切りアイデアを30提案します。
包丁の入れ方や塩の当て方、電子レンジとフライパンの分担、味の着地をひと目でわかる分量付きで解説するので、今夜からすぐに試せます。
シャキッとした食感を活かす日と、くたっと甘みを引き出す日を織り交ぜれば、飽きずに食べ切れます。
予算的にも1玉で数日分の副菜と主菜が賄えるのは家計の味方です。
さっそく丸ごとを気持ちよく回す段取りから始めましょう。
キャベツを丸ごと攻略する最初の一手
使い切りの設計図を描く
最初に「生で食べる」「火を通す」「作り置きに回す」の比率をざっくり決めます。
例えば外葉は火入れ、中層は作り置き、中心はサラダと分けるだけで迷いが消えます。
1/4は生、1/2は加熱、1/4は作り置きという配分が家庭では回しやすいです。
日持ちの目安は、生は切り口をラップで3日、加熱は密閉で2〜3日、酢入りの作り置きは4〜5日が基準です。
それでも不安なら、早めに塩を当てて水分を抜くと傷みにくくなります。
カットと保存の黄金比
芯をV字に切り取り、くし形に8等分すると用途がぶれにくいです。
生食用は千切り幅1〜2mm、炒め用は1.5〜2cm角、スープ用は3〜4cm角が扱いやすいです。
切ったらキッチンペーパーに包み、ジッパー袋で冷蔵すると余計な水分を吸って日持ちが安定します。
カット直後に塩少々を振って軽く揉むと、翌日でも青臭みが出にくいです。
保存容器は浅型より深型のほうが乾燥しにくい傾向です。
レンジと蒸しで甘みを引き出す
加熱は「短時間×高温」より「中温でふんわり」が甘みを引き出します。
電子レンジなら600Wで2分→混ぜ→1分追加の分割加熱が失敗しにくいです。
蒸し器やフライパン蒸しは水50mlと蓋で3〜5分、塩ひとつまみで十分です。
水を入れすぎると旨みが流れるので、あとで使うスープに回す前提で最小限にします。
ふわっと湯気が立ったら余熱で1分置くと、食感が均一になります。
使い切り計画のコツ
週の前半は生と浅漬け、後半は炒めとスープに回すと飽きません。
味の軸を「塩」「味噌」「醤油」「酢」「オイル」の5系統で回すと献立が組みやすいです。
同時に2品仕込む“ついで調理”を基本にすると、手間の総量が半分に感じられます。
それではここから、具体の30アイデアに入ります。
日持ちする作り置きでベースを作る
浅漬けと塩もみの定番
塩が水分を引き出し、傷みにくくなります。
下味が付いた状態は後からの味変も簡単です。
1)塩もみ千切りキャベツ。
千切り300gに塩小さじ1/2を揉み5分置き、水気を絞りごま油小さじ1で和えます。
サラダ・麺トッピング・卵焼き具に回せます。
2)レモン浅漬け。
ざく切り200gに塩小さじ1/3とレモン汁大さじ1、砂糖小さじ1/2で10分。
爽やかで肉料理の付け合わせに好相性です。
3)昆布だし即席漬け。
塩小さじ1/3と細切り昆布ひとつまみ、酢小さじ1で15分。
旨みが乗るので少量でも満足感があります。
4)塩麹もみ。
塩麹大さじ1で揉んで15分。
発酵の甘みで子どもも食べやすいです。
5)ゆかり和え。
塩もみにゆかり小さじ1を混ぜるだけ。
紫蘇の香りでお弁当の彩りにもなります。
6)七味×ごま油のピリ辛もみ。
塩もみに七味少々とごま油を合わせ、酒のつまみにも転用できます。
マリネとピクルスで味の軸を作る
酸を利かせると4〜5日持ちます。
油を少し足すと冷蔵でも味がぼけません。
7)和風マリネ。
酢大さじ2、醤油大さじ1、砂糖小さじ1、油小さじ1を混ぜ、ざく切り300gに回しかけ30分。
焼き魚の付け合わせに万能です。
8)粒マスタードマリネ。
酢大さじ2、はちみつ小さじ1、粒マスタード小さじ2、塩少々。
ハムと和えると即席デリ風になります。
9)簡単ピクルス。
酢100ml、水100ml、砂糖大さじ2、塩小さじ1/2を沸かし冷ましてキャベツ200gへ。
人参・玉ねぎも入れて“混ぜ野菜”にします。
10)リンゴ酢×レーズンマリネ。
甘酸っぱく、カレーに添えると味が締まります。
11)コールスローベース。
酢大さじ1.5、砂糖小さじ1、塩小さじ1/3、マヨ大さじ1を薄く絡め、食べる直前に追いマヨで水っぽさを防ぎます。
12)アジア風ナンプラーマリネ。
ナンプラー小さじ2、酢大さじ1、砂糖小さじ1、唐辛子少々で異国感を足します。
乳酸発酵とデリ風で食べ飽きない
キャベツは発酵とも相性がよく、旨みが増します。
ただし夏場は塩分をやや多めにして安全側に寄せます。
13)簡易ザワークラウト。
千切り400gに塩小さじ1を揉み、煮沸瓶で常温24時間→冷蔵2日。
酸味が穏やかでソーセージに合います。
14)クミンとビネガーのデリサラダ。
オリーブ油大さじ1、白ワインビネガー大さじ1、クミン少々でスパイス香。
15)ヨーグルトコールスロー。
水切りヨーグルト大さじ2、レモン小さじ1、蜂蜜少々で軽い口当たりです。
16)塩昆布キャベツ。
塩昆布10gとごま油小さじ1、仕上げに白ごま。
箸が止まらないと評判の鉄板副菜です。
17)にんにく醤油マリネ。
おろしにんにく少々と醤油小さじ2でパンチを足し、焼き鳥の相棒にします。
18)ごま酢和え。
酢大さじ1、すりごま大さじ1、砂糖少々で和食に寄せます。
毎日食べられる副菜アレンジ
和え物と白だしで秒速一品
短時間調理は平日の味方です。
出汁を味の土台にすると少量でも満足度が上がります。
19)白だしおひたし。
レンジで1分蒸したキャベツ150gに白だし小さじ2と水小さじ1、鰹節。
20)梅かつお和え。
叩き梅1個、醤油小さじ1/2、鰹節でさっぱり。
21)明太マヨ和え。
明太子小さじ2、マヨ小さじ2、レモン数滴で居酒屋風です。
22)ツナ和え。
ツナ缶小1/2と醤油小さじ1/2、黒胡椒でボリュームアップします。
23)味噌ごま和え。
味噌小さじ1、みりん小さじ1、すりごま大さじ1でこっくり。
24)塩昆布レモン。
塩昆布とレモンで、脂の多い主菜の合いの手になります。
ナムルと中華だれで幅を広げる
油と塩、そして香味で食欲が立ち上がります。
胡麻油は小さじ1でも香りが通ります。
25)基本ナムル。
塩小さじ1/3、胡麻油小さじ1、にんにく少々で混ぜるだけ。
26)鶏がら中華和え。
鶏がら小さじ1/2、酢小さじ1、胡椒でテイストチェンジ。
27)食べるラー油和え。
辛味は控えめでも満足度が高いです。
28)ザーサイ和え。
刻みザーサイ大さじ1で旨みと塩気が一度に決まります。
29)香菜レモン和え。
香菜が手に入る日は、ざく切りを一握り足すだけで一気にアジア屋台の雰囲気です。
30)黒酢オニオンだれ。
黒酢小さじ2とすりおろし玉ねぎ小さじ1でコク酸っぱく仕上げます。
炒め煮とレンチンで“あと一皿”
火を通すと量が減り、消費が進みます。
水分は出やすいので最初に油を薄くまとわせるのがコツです。
31)めんつゆ炒め煮。
油小さじ1で炒め、めんつゆ大さじ1、水大さじ1でさっと煮て汁気を飛ばします。
32)ベーコンと黒胡椒炒め。
塩気と煙香でご飯にも合います。
33)鶏そぼろと生姜の炒め。
そぼろ50gで満足感が跳ね上がります。
34)ツナとコーンのレンジ蒸し。
子ども受けがよく、彩りも良いです。
35)アンチョビキャベツ。
アンチョビ2枚とにんにくで旨みの塊になります。
36)カレー粉バター炒め。
少量のバターで香りをまとめると“おかず力”が増します。
主食に混ぜてボリューム&糖質オフ
ご飯と麺でかさ増し
主食に混ぜると食べ応えが出て、実は冷めてもおいしいです。
水分が多いとべちゃつくので、水気はしっかり切ります。
37)キャベツチャーハン。
みじん切り150gを最初にしっかり炒めて水分を飛ばし、ご飯200gと卵1個で仕上げます。
38)そばめし風焼きめし。
千切りを細かく刻み、ソース小さじ2で香ばしく。
39)焼きそば“半分キャベツ”。
麺1玉に対しキャベツ200g、麺は湯通しして油を吸わせすぎないのがコツです。
40)ペペロンチーノにどっさり。
塩茹での最後1分でキャベツ投入、にんにく油であえるだけです。
41)うどんキャベツ塩バター。
冷凍うどんにキャベツを合わせ、顆粒だしとバターで“手早い夜食”に向きます。
42)焼きラーメン風。
インスタント麺の粉末スープ半量で十分味が決まります。
粉ものにたっぷり仕込む
粉ものは相性が抜群です。
水分管理が成功の鍵です。
43)お好み焼き“キャベツ多め”。
粉100gに対してキャベツ250〜300g、卵1、出汁120mlが黄金比です。
44)チヂミ。
ニラがなければ青ねぎで代用可、タレは酢醤油+ごま油で簡単にまとまります。
45)おからパウダー入りお好み焼き。
粉を2割おからパウダーに置き換えると糖質控えめで食べ応えが増します。
46)キャベツ天。
薄衣でさっと揚げ焼き、塩で食べると甘みが際立ちます。
47)米粉のふんわり焼き。
グルテン控えめにしたい日に便利です。
48)薄焼き卵のキャベツ包み焼き。
卵と合わせると冷めてもおいしいお弁当おかずになります。
パンとトーストで朝食をアップデート
パンは油脂と酸が合わさると満足度が高まります。
しんなり→トーストの順で水気を飛ばすとベチャつきません。
49)ホットサンドコールスロー。
ハムとチーズを重ね、外側に薄くバターでカリッと仕上げます。
50)キャベツメルトトースト。
マスタード+マヨにキャベツを和え、チーズでこんがり。
51)ピザトーストに細切りキャベツ。
玉ねぎの代わりに使うと甘みが穏やかです。
52)サバマヨサンド。
サバ缶×レモン×キャベツで臭みが気になりにくいです。
53)カレーパン風トースト。
レトルトカレー少量とキャベツで満足の一枚になります。
54)タルタルドッグ。
刻みキャベツとゆで卵でタルタルを増量し、油控えめでも満足です。
しっかり満足のメインおかず
肉と合わせて王道に
たんぱく質と合わせると主菜が成立します。
焼きすぎず“蒸し焼き”がジューシーの近道です。
55)豚バラとキャベツの蒸し焼き。
塩胡椒と酒大さじ1、蓋をして中火5分、仕上げにポン酢でさっぱり。
56)回鍋肉ライト。
甜麺醤大さじ1/2と味噌小さじ1で甘辛く、油は控えめでも満足。
57)鶏むねしっとり炒め。
そぎ切りに片栗粉を薄くまぶし、キャベツと一緒にとろみでまとめます。
58)牛こまオイスター炒め。
オイスター小さじ2で旨みを集中させます。
59)合いびきとキャベツのそぼろ炒め。
ご飯が進む甘辛味で弁当にも向きます。
60)ソーセージと粒マスタード炒め。
パンにもご飯にも合う万能おかずです。
包む・巻くで食感を演出
包むと見た目が変わり、食卓の気分が上がります。
葉は電子レンジで軽く柔らかくしておきます。
61)基本のロールキャベツ。
合いびき200gにパン粉大さじ2、牛乳大さじ2、塩胡椒、スープで20分煮ます。
62)肉巻きキャベツ。
千切りを豚薄切りで巻き、甘辛だれで照りっと仕上げます。
63)春巻き風キャベツ包み。
皮がなければ薄焼き卵で代用可、油少なめの揚げ焼きでOKです。
64)餃子の皮でミニ包み焼き。
キャベツたっぷり餡で軽いおつまみに。
65)生春巻き。
蒸し鶏と合わせてヘルシーに仕上げます。
66)キャベツメンチ。
みじん切りを多めに混ぜ、揚げ焼きで油を抑えます。
揚げない・煮込みで軽やか
油が重い日でも満足できる工夫です。
煮込みは塩を控えめにして最後に調整すると間延びしません。
67)トマト煮込み。
ベーコンとトマト缶で15分、酸味と甘みのバランスが良いです。
68)味噌バター煮。
牛乳少量を足すとコクが出ます。
69)ポン酢バターホイル焼き。
魚と一緒に包んでオーブンやトースターにお任せです。
70)鯖缶とキャベツの蒸し煮。
缶汁ごと使えば味が決まります。
71)豆腐ととろみ煮。
片栗粉で軽いあんにすると体調の悪い日にも食べやすいです。
72)鶏団子のスープ煮。
団子の旨みをキャベツが受け止めます。
スープと鍋で大量消費
和風と中華で“汁が主役”
スープは水分に旨みが溶けるので、ムダがありません。
塩加減は具材量に対して0.7〜0.8%が目安です。
73)味噌汁。
油揚げと合わせるとコクが増します。
74)豚汁ライト。
根菜が足りなければキャベツ多めでも成立します。
75)中華春雨スープ。
鶏がらスープに生姜を利かせ、春雨で満腹感を補います。
76)卵とじスープ。
最後に溶き卵でふんわりとまとめます。
77)豆腐とごまスープ。
練りごまでコク、ラー油でアクセントです。
78)海老ワンタンスープ。
皮がなければ餃子皮で代用可です。
洋風で甘みを引き出す
洋風はキャベツの自然な甘さが主役になります。
ベイリーフ1枚あると香りの格が上がります。
79)ポトフ。
ウインナーと玉ねぎ、じゃがいもで20分煮るだけです。
80)ミネストローネ。
トマトと豆で栄養バランスが整います。
81)クラムチャウダー風。
牛乳とベーコンで、スープは濃厚でも後味は軽やかです。
82)コーンスープ増量。
コーン缶の甘みと相性が抜群です。
83)オニオンスープにキャベツ追加。
玉ねぎだけより食感の変化が出ます。
84)ベーコンと白いんげんのスープ。
パンを浸して一皿完結にできます。
エスニックとスパイスでマンネリ回避
香りを変えると、同じ素材でも印象が変わります。
辛味はあとから足せるため、家族の好みに合わせやすいです。
85)トムヤム風。
ナンプラーとレモングラスがなくても、レモンと醤油少々で近づけられます。
86)ココナッツカレー風スープ。
カレー粉とココナッツミルクで南国感が出ます。
87)担々スープ。
練りごま・味噌・ラー油で体が温まります。
88)スパイス白菜スープの置換。
レシピの白菜をキャベツで代替しても十分美味です。
89)フォー風米麺スープ。
ライムと香菜で仕上げます。
90)ラープ風温サラダスープ。
ひき肉とライム、魚醤で“飲めるおかず”になります。
余すところゼロの芯・外葉・冷凍テク
芯はスライスで“甘みの塊”
芯は固いだけでなく甘みが強い部位です。
薄切りにして火を通すと主役にもなります。
薄切り芯は浅漬けにするとポリポリした食感が楽しいです。
スープでは角切りにして長めに煮ると、とろりとした食感に変わります。
みじん切りはハンバーグやつくねに混ぜ込むと水分と甘みが移ります。
外葉はザク切り&火入れで活路
外葉は繊維が太いので、炒める・煮るが活躍します。
オイルを最初にまとわせてから塩を振ると、青臭みを感じにくいです。
細めの千切りにして味噌汁や焼きそばに混ぜれば気になりません。
刻んで餃子や焼売の餡に混ぜ込むと量の割に存在感が薄くなります。
外葉の青い色は火を通しすぎるとくすむため、仕上げは短時間がコツです。
冷凍と解凍でロスを防ぐ
生のままの冷凍は1〜2cm幅に切り、薄く広げて急速冷凍が基本です。
冷凍後は炒め物やスープで凍ったまま投入すると水っぽくなりません。
塩もみしてから小分け冷凍すると、解凍即サラダや和え物に転用できます。
レンジで半解凍→水気を絞ると、食感がふたたび立ち上がります。
冷凍は1か月を目安に使い切り、香りが弱くなる前にスパイスやベーコンで補います。
まとめ
キャベツ丸ごとを前にすると、まず「切り方」と「味の軸」を決めるだけで台所はうんと軽くなります。
生・加熱・作り置きの配分を決め、浅漬けやマリネでベースを仕込めば、あとは主食やメイン、スープに次々と展開できます。
今回の30アイデアは、短時間で実行でき、コストも低く、家族それぞれの好みに合わせやすい組み合わせばかりです。
まずは今ある1/4を浅漬けに、もう1/4を炒め用に、残りをスープと主食に回す“使い切り設計図”から始めてみてください。
気が向いたら一つだけ、新しい味に挑戦するのもおすすめです。
よく食べ、無駄なく使い切れた日は、台所が少し誇らしく感じられるはずです。
さあ、今日のキャベツはどのアイデアから動かしますか。