仕事・勉強

使い回せる!議事録テンプレ&要点の書き方

会議が終わったあとに「で、何をやるんだっけ」と頭がもやもやする時間をゼロにしたい人へ向けたガイドです。
このコラムでは、どんな会議でも使い回せる議事録テンプレと、要点を外さない書き方のコツをひとまとめにしました。
狙いはシンプルで、決定と次の一歩が一目で分かることです。
テンプレはコピペして今日の会議から使えます。
書き方は「結論→根拠→数字→アクション」の順で迷わず整理できるように解説します。
さらに、会議タイプ別の専用テンプレや、配布までの運用フロー、よくある反論への答えまで網羅しました。
読み終えるころには、議事録作成が“仕事の重荷”から“意思決定の加速装置”に変わるはずです。
さっそく実務に耐える形で進めます。

議事録のゴール設計

なぜ議事録を書くのかを一言で定義する

議事録の目的は「後で争わないため」と「次に進むため」を同時に満たすことです。
誰が何をいつまでにやるかが明確で、背景の議論も要点だけ追える状態が理想です。
法務や品質保証が関与する場では、合意の痕跡としても効きます。
逆に、雑談の逐語録は残しても価値が薄いことが多いです。
だからこそ、書く量より残す質を優先します。

3秒で全体像が伝わる「冒頭3行」

冒頭に要約を3行で固定すると、読む人のストレスが激減します。
形式は「結論」「理由」「次アクション」です。
例として「結論:新機能β版を9月30日に限定公開する。」「理由:既存顧客の離脱抑止が急務で、βで検証する。」「次アクション:担当Aが仕様を8月20日までにFIXする。」のように書きます。
最初に輪郭が見えると、その後の詳細もスッと入ります。

5W1Hは全部はいらない

すべての会議で5W1Hをフル装備にする必要はありません。
WhoとWhenとWhatが固まれば、WhyとHowは要点に限って補えば十分です。
時間が限られるときは、会議名と日時、決定事項、アクションの3点だけは必ず埋めます。
残りは追記でカバーしても実害は出にくいです。

逆ピラミッドで「迷子」を防ぐ

ニュース記事のように結論を先に、詳細を後に置くと、読み手が途中離脱しても核心を把握できます。
議事録でも逆ピラミッドが機能します。
上から「要約」「決定」「論点」「メモ」「添付」の順に配置すると、探す時間が短くなります。
迷ったら「上に置くほど再利用頻度が高い情報」と覚えます。

すぐ使える議事録テンプレ(万能型)

コピペ用テンプレ

会議名:〇〇会議。
日時:YYYY年MM月DD日 HH:MM–HH:MM。
場所/URL:会議室名またはオンラインURL。
出席:氏名(所属)/欠席:氏名。
目的:今回の会議で達成したいことを一文で書く。
冒頭要約:結論。理由。次アクション。
決定事項:番号付きで簡潔に記す。
論点メモ:主な論点と各論の要旨を見出し付きで整理する。
アクション一覧:担当者。タスク。期限。依存関係。ステータス。
宿題・未決事項:解決条件と責任の所在を書く。
リスク/懸念:起点。影響。対策の方向性。
参考資料:ファイル名や保管場所を明記する。
次回予定:日時。目的。準備物。

記入例(定例会議)

会議名:開発部 定例。
日時:2025年8月10日 10:00–10:45。
場所/URL:第2会議室。
出席:A。B。C。欠席:D。
目的:第35週の進捗共有と障害対応の優先度確定。
冒頭要約:結論。障害#124の修正を今週最優先で対応する。理由。ユーザー影響が拡大しておりサポート負荷が増大。次アクション。Aがパッチを8月12日までに提出。Bがリリースノートを8月13日にドラフト。
決定事項:1。障害#124を最優先。2。新機能Xのデモは次回に延期。
論点メモ:障害#124の再発防止策としてログ閾値の見直しが必要。監視条件はBが設計。
アクション一覧:A。パッチ作成。8月12日。依存なし。進行中。B。監視設計。8月14日。Aのパッチレビュー後。未着手。
宿題・未決事項:新機能XのKPI定義は次回Cが案提示。
リスク/懸念:デプロイ遅延が四半期目標に影響する可能性がある。
参考資料:進捗ボード。障害チケット#124。
次回予定:2025年8月17日 10:00。目的は新機能XのKPI定義。

記入例(意思決定会議)

会議名:価格改定 方針決定。
日時:2025年8月10日 15:00–16:00。
場所/URL:オンライン。
出席:営業。マーケ。経営。
目的:来期の価格レンジと移行スケジュールを決める。
冒頭要約:結論。スタンダードプランを月額4,980円に改定し現行ユーザーは据え置き。理由。サポート原価と市場価格の乖離を是正するため。次アクション。マーケがアナウンス案を8月18日までに作成。
決定事項:改定幅は+500円。既存ユーザーは据え置きで3月末に再評価。
論点メモ:競合比較では主要3社の中央値が5,200円であり、訴求価値の上積みが必要。値上げの反応はFAQの補強で緩和可能。
アクション一覧:営業。既存大型顧客への事前説明。8月25日。マーケ。価格表更新。9月1日。
宿題・未決事項:教育機関向けディスカウントの扱いは次回に持ち越し。
リスク/懸念:SNSでの反発。クーポン運用で初期反応を吸収する。
参考資料:価格調査サマリー。収益シミュレーション。
次回予定:2025年8月24日 15:00。目的はFAQ確定。

会議タイプ別テンプレ

プロジェクト進捗会議

目的:マイルストーンの進捗と阻害要因の除去に特化する。
要点の型:進捗%。完了タスク。遅延理由。ブロッカー。次の一手。
テンプレ項目:マイルストーン。完了報告。遅延の原因と対策。依存タスク。決定事項。アクション。
書き方のコツ:数字を必ず入れることで曖昧さを除去する。期日を週単位から日付に落とす。

1on1/評価面談

目的:目標に対する現状と次の成長実験を合意する。
要点の型:成果事実。課題の解像度。支援が必要な障壁。次の行動。
テンプレ項目:直近の成果。困りごと。学習メモ。合意アクション。フォロー日程。
書き方のコツ:感情語は引用しつつ、合意事項は客観表現に変換する。例として「モヤモヤする」は「役割分担が不明確」に置き換える。

営業商談

目的:意思決定プロセスと購買条件を可視化し次回の打ち手を確定する。
要点の型:意思決定者。評価軸。予算。導入時期。懸念。次回アクション。
テンプレ項目:案件概要。キーパーソン。導入背景。要件。提案の差分。競合。次回アクション。
書き方のコツ:相手の言葉を短い引用で残すと後工程のすり合わせが速い。

顧客インタビュー/ユーザー調査

目的:課題の事実を抽出し仮説検証に使える知見として構造化する。
要点の型:現状行動。困難。代替手段。理想。採用条件。
テンプレ項目:調査設計。参加者属性。発言の要旨。観察メモ。示唆。次の検証。
書き方のコツ:主語を「ユーザーは」に統一して一般化しすぎを避ける。

ブレインストーミング/ワークショップ

目的:アイデアの量産と選定基準の合意を同時に行う。
要点の型:テーマ。発散観点。収束基準。選定結果。実験案。
テンプレ項目:テーマ定義。発散ログ。評価基準。投票結果。採択案。次アクション。
書き方のコツ:発散と収束を段落で分けて混線を避ける。

振り返り/レトロスペクティブ

目的:再現したい成功と防ぎたい失敗を分け、次スプリントに接続する。
要点の型:良かった点。悪かった点。学び。改善アイテム。担当と期限。
テンプレ項目:KPTまたはYWTの枠。観測事実。原因仮説。改善アクション。検証ポイント。
書き方のコツ:感想ではなく事実と数字を優先して書く。例として「レビューが遅い」は「レビュー平均待機時間が48時間」に置換する。

要点の書き方(聞きながらまとめる技術)

「キーワード先取り」メモ術

横に二列のメモ欄を用意し、左にキーワード。右に要旨を書くと整理が速いです。
左に「結論」「理由」「反対意見」「決定案」「期限」を並べておくと、会話がどの箱に入るか瞬時に判断できます。
要旨は動詞から書き始めて短文化します。
例として「値上げ案に賛成多い。リスクは解約増。」のように文を切ります。

決定事項の文型テンプレ

決定は「誰が」「何を」「いつまでに」「どの基準で完了とみなすか」で一文にします。
文型は「担当者はタスクを期限までに完了し、完了条件は基準とする」です。
例として「Aは新料金ページを8月31日までに公開し、完了条件はFAQ10件の反映とABテスト開始とする」と書きます。
基準があるだけで追跡が容易になります。

アクションアイテムはSMARTで絞る

具体的で測定可能で達成可能で関連があり期限のある形に直します。
抽象的な「品質向上」は「クラッシュ率を0.4%未満へ。9月末まで。担当B。」に変換します。
「誰が」「いつ」「どの数字」まで落とし込めば、会議外でも前に進みます。

迷ったら数字を入れる

数字は意思疎通の誤差を減らします。
「早め」は「8月第3週まで」に、 「多い」は「70%以上」に置換します。
根拠が弱い数字は範囲で示すと安全です。
例として「見込みは30〜40%」と幅を持たせます。

失敗しない運用フロー

事前準備チェックリスト

アジェンダは24時間前に共有する。
テンプレは会議前に複製する。
役割分担を決める。進行。記録。タイムキーパーを明示する。
目的と期待成果を1文にして冒頭で確認する。
必要資料の場所をリンクで示す。
オンラインなら録画可否と議事録の公開範囲を冒頭で宣言する。

会議中の役割分担

進行役は論点をまとめ、脱線を戻す。
記録役は決定とアクションに赤を入れるなど視覚的に区別する。
タイムキーパーは持ち時間の残をアナウンスする。
参加者は結論から話すルールに従う。
反対意見は理由と代替案をセットで述べる。

会議後5分の配信テンプレ

件名は「【議事録】会議名_YYYYMMDD」。
本文は冒頭3行。
本文下に「決定」「アクション」「未決」を置く。
配布先は最小限から始め、必要に応じて展開する。
更新があれば変更履歴に日時と担当を追記する。
「未決」が残るメールは次回の起点になります。

よくある反論と対処

「録音があるから不要」への答え

録音は真偽の検証には役立ちますが、再利用性が低いです。
要点を探すのに時間がかかり、意思決定の瞬間を取り逃がすこともあります。
議事録は検索と引用に強く、短時間で共有できます。
録音は証跡。議事録は道具。と役割を分けて併用します。

「書くのが大変」への答え

テンプレ化すれば入力は枠を埋める作業に変わります。
冒頭3行と「決定」「アクション」だけ先に固めれば、残りは後追いで補えます。
さらに役割分担で負荷を分散します。
作成時間は会議時間の20%を目安に設計すると現実的です。

「非公開情報が多い」への配慮

公開版と詳細版を分けて作ります。
公開版は要約と決定、影響範囲のみを載せます。
詳細版はアクセス制限をかけ、発言の生々しい部分はイニシャルで扱います。
「公開範囲」と「保存期間」を最初に決めると安全です。

書き回数を減らす自動化・ツール連携

音声文字起こしの使いどころ

文字起こしは下書きとして使い、要約は人が行います。
決定とアクションは誤認が命取りなので必ず目で確認します。
辞書登録で固有名詞の精度を上げると編集工数が下がります。

テンプレのショートカット化

定型文はスニペットに登録します。
「冒頭3行」「決定の文型」「アクションのフォーマット」を辞書化すると入力が速くなります。
日時や会議名は変数にして使い回します。

バージョン管理と検索性

ファイル名は「会議名_YYYYMMDD_版数」で統一します。
決定事項はタグ「#決定」で一括検索できるようにします。
後から見返す前提で、見出し語を統一し語彙のぶれを抑えます。
履歴は変更点だけ箇条書きで残すと比較が容易です。

例文ストック集(決定文/依頼文/注記)

決定文。料金改定を9月1日に実施する。既存顧客は据え置く。
決定文。障害#124を最優先とし、今週の新機能開発を停止する。
決定文。A案でβテストを実施し、参加数100件を基準に移行可否を判断する。
依頼文。Aは仕様書の不足箇所を8月20日までに補完する。
依頼文。Bは顧客リストをセグメント分けして8月18日に共有する。
依頼文。CはFAQの草案10本を8月25日までに提出する。
注記。未決事項は次回会議で合意し、現時点では実行しない。
注記。公開資料には価格の内訳を記載しない。
注記。録音データの保管期限は30日とし、権限者のみ閲覧可とする。
注記。データは匿名化して二次利用する。

さらに使い回せる拡張テンプレ(短時間版)

会議名。日時。出席。目的。
結論。理由。次アクション。
決定。アクション。未決。
次回予定。準備物。

読みやすさの微調整テクニック

同じ語尾を連続させない。
一文は60文字前後を上限に区切る。
数字は半角に統一して見た目のノイズを減らす。
人名と役割は初出で括弧補足する。
図表に頼らず文面だけで復元できる密度を目指す。

品質を担保する最終チェックリスト

冒頭3行がある。
決定とアクションが分かれている。
担当と期限が全件に付いている。
未決事項が明記されている。
公開範囲と保管場所が書かれている。
次回の目的が示されている。
読み手が知りたい順に並んでいる。

ケースで学ぶ当てはめ練習

新規プロジェクトの立ち上げに当てはめる

状況。プロダクトAの海外展開を3か月で試すためのキックオフ会議。
目的は「最初の2週間で検証設計と役割を固める」に設定する。
冒頭3行の例。結論。英語LPと広告の小規模実験を8月末までに実施する。理由。意思決定者の関心と仮説検証の速度を両立するため。次アクション。マーケ責任者Bが施策案を8月18日に提示。
決定の書き方。誰が。何を。いつまでに。完了条件で一文化する。
例。「Bは英語LP初版を8月22日までに公開し、完了条件はCVR1%以上の到達とする。」
論点メモの整理。ターゲット国。予算。KPI。リスク。の4小見出しで分解する。
議事録の配置は「要約→決定→論点→アクション→資料」。
キックオフは後から読み返す頻度が高いため、リンク集をひとまとめに置くと便利だ。

緊急障害対応に当てはめる

状況。主要機能が一時停止。ユーザー影響が拡大中。
目的は「影響範囲の特定と暫定対策の発動」に絞る。
冒頭3行の例。結論。トラフィックを段階的に絞り込み暫定回復を最優先。理由。ピーク時のエラー率が7%でサポート逼迫。次アクション。SREのCがトグルを即時切替。
決定の文型をさらに硬くする。
例。「CはRateLimitを1分間1,000リクエストに設定し、ログ誤検知率が1%未満であることを完了条件とする。」
論点メモは時系列と責任で二段にする。
時系列。発生時刻。検知経路。初動。現在値。
責任。暫定対応担当。恒久対応担当。コミュニケーション担当。
アクション一覧には「更新頻度」を持たせる。10分ごとの進捗更新などの運用ルールを明記する。
緊急時は冗長表現を避け、短く正確に「名詞+動詞」で刻むと読み手が助かる。

採用面接の合否会議に当てはめる

状況。3名の最終候補から1名を決める。
目的は「合意基準の明文化と最終判断の確定」。
冒頭3行の例。結論。候補Xを内定。理由。カルチャーフィットと即戦力の両立が高評価。次アクション。人事Dがオファー条件を8月12日に提示。
決定事項は「基準→判断→根拠→リスク緩和」の順で書く。
例。「基準。自走力と対人折衝。判断。Xを採用。根拠。事例面接での提案力。リスク。ドメイン知識不足は90日オンボーディングで補完。」
論点メモは感情語を避け、行動や事実に落とす。
「感じが良い」は「傾聴→要約→提案の循環が3回成立」に直す。
アクションには「不採用者へのフィードバック方針」も含めると組織学習につながる。

デザインレビューに当てはめる

状況。新UIの第1案レビュー。
目的は「採択基準の合意と次の修正指示の確定」。
冒頭3行の例。結論。案Bをベースにモバイルの可読性を優先して修正。理由。ヒートマップで主要CTAの視認性が低かったため。次アクション。デザイナーEが8月16日までに2案を再提示。
決定文は「変えるポイント」と「変えない前提」をセットで書く。
例。「見出しのサイズを16→18に拡大し、配色のブランドガイドは維持する。」
論点メモは「観測事実→示唆→指示」で三行ループにする。
観測事実。スクロール深度が半分で落ちる。示唆。ファーストビューの情報過多。指示。導入文を40字に圧縮。
レビュー後のアクションには、検証方法(ABテスト、ユーザビリティテスト)を明記する。

失敗例をリライト実演

ふわっと要旨を骨太に直す

悪い例。「来期の値上げはありかも。検討続行。」
良い例。「価格改定は+500円で方向一致。マーケは8月18日までに告知案を作成。既存顧客は据え置きで3月末再評価。」
理由。曖昧語を排し、結論と期限と対象を明確化している。

議論の羅列を意思決定の物語に直す

悪い例。「Aが反対。Bが賛成。Cは様子見。いろいろ意見。」
良い例。「評価基準をコスト対効果に絞り、AはROI閾値未達を指摘。Bは長期LTVを根拠に賛成。最終判断はROI>120%で合意。」
理由。意見の関係性と基準を先に示すと、読み手がすっと理解できる。

主観語を客観語に変換する

悪い例。「品質が悪い。」
良い例。「直近7日間のクラッシュ率が0.9%で目標0.4%未満を超過。」
理由。事実と基準を並べると改善の方向が自動で決まる。

断片タスクをSMARTアクションに変換する

悪い例。「FAQを整える。」
良い例。「CはFAQ10件を8月25日までに公開。完了条件はPV上位5件への差し替えと内部検索での露出設定。」
理由。量。期限。完了条件の三点が揃うと、進捗が管理できる。

1,000字議事録を冒頭3行に圧縮する

悪い例。前置きが長く、結論が最後。
良い例。「結論。X機能はβで9月30日に限定公開。理由。離脱抑止の仮説検証を優先。次アクション。Aが8月20日までに仕様FIX。」
理由。逆ピラミッドで上に核を置くから離脱しても本質が伝わる。

ツール別の実装ポイント

Googleドキュメントとスプレッドシート

共同編集が前提の場では、見出しスタイルを固定して自動目次を活用する。
「要約」「決定」「アクション」にH2、「論点」「資料」にH3を割り当てる。
スプレッドシートではアクション一覧を1行1タスクで管理し、担当。期限。完了条件。依存。状態。を列で固定する。
条件付き書式で期限超過を赤にすると一目で遅延が見える。
コメント機能で反論をスレッド化し、決着したら「決定」に抜粋して再掲する。

NotionやConfluenceでのテンプレ化

テンプレートページにデータベースを紐づけ、「会議名」「日付」「種別」「公開範囲」をプロパティ化する。
議事録はコンポーネントを使って「冒頭3行」をカード表現にすると視認性が上がる。
タグ「#決定」「#未決」で横断検索できるようにし、一覧ビューは期限の近い順に並べる。
権限は「編集者」「閲覧者」を分け、履歴は自動バージョンで追うと安心だ。

TeamsやSlackでの配布運用

配布は「件名」「冒頭3行」「決定/アクション/未決」の順で固定し、スレッド1本に集約する。
メンションは担当者と承認者のみ。
更新があれば同スレッドに追記し、先頭メッセージの要約も更新する。
絵文字やピン留めを控えめに使って、重要箇所の視認性を上げる。

表記ルールの統一とタグ運用

人名は「姓のみ」か「姓+名」を組織で統一する。
日付はYYYY/MM/DDで固定し、時間は24時間表記にする。
タグは目的別に最大5個までに抑え、「#決定」「#未決」「#KPI」「#リスク」を軸にする。
表記ブレが減るほど検索と再利用が速くなる。

早書きの技術

3色ハイライト法で視覚差別化する

会議中のメモでは「決定は赤」「アクションは青」「未決は黄」で色分けする。
後で議事録に清書するとき、色をたどるだけで段落が組み上がる。
色を使えない環境では、括弧記号や記号の重ねで代替する。

文型スニペット集で手を止めない

冒頭3行用。結論。理由。次アクション。
決定文用。担当者はタスクを期限までに完了し、完了条件は基準とする。
アクション用。担当。タスク。期限。依存。状態。
未決用。論点。追加条件。責任。再審日。
リスク用。起点。影響。対策案。発動条件。
スニペットはIME辞書やスニペットツールに登録して、ぱぱっと展開する。

キーボードショートカットを会議前に決める

箇条書き。チェックボックス。見出し切替など、使う操作を3つだけ覚える。
議論中に迷わないよう、操作を身体化して思考に集中する。
録音や画面共有のホットキーも併せて準備する。

ファシリと連動する言い回し

収束させる一言

「今の論点を一文にすると、Xで合意できていますか。」
「決める基準を先に置きます。ROI120%以上でどうでしょう。」
「反対の方は理由と代替案を一緒にください。」
こうしたフレーズを議事録の「進行メモ」に残すと、次回の設計が楽になる。

反対意見を引き出す一言

「この案が失敗するとしたら、どこですか。」
「導入後の困りごとは何が起きえますか。」
反対の掘り起こしはリスクの事前把握につながり、議事録の「リスク」欄が充実する。

決定を読み上げて固める

「決定文を読み上げます。修正があれば今ここで。」
読み上げのあとに全員のうなずきが可視化されると、議事録は合意の証跡になる。
読み上げた文はそのまま「決定」に貼り付ける。すっと確定できる。

セキュリティと公開設計

公開範囲のマトリクスを先に決める

社外公開。社内全体。部門限定。プロジェクト限定。個人限定の5段階で統一する。
会議の冒頭で公開レベルを宣言し、議事録冒頭にも明記する。
秘匿情報は別紙に分け、アクセス権でコントロールする。

保管期限と版管理

録音や添付の保管期限は30日や90日など期限を決め、議事録に書いておく。
版管理は「会議名_YYYYMMDD_版数」で統一し、変更履歴は「何を」「なぜ」「誰が」を短文で残す。
版の増殖を避けるため、最新版の保管場所を固定してリンクで参照させる。

社外共有前のチェック

法務チェックの要否。個人情報や機微情報のマスキング。引用の出典表記。
社外向けは「要約」「決定」「影響」「問い合わせ先」に絞ると安全だ。

品質KPIと振り返り

KPIの例

配信までの所要時間。アクションの期限遵守率。未決の回転日数。議事録の閲覧数。検索ヒット数。
これらを週次で見れば、議事録が成果につながっているかが分かる。
数字が重いときは、テンプレの簡略版に切替えて速度を優先する。

ウィークリーレビューの手順

1週間分の議事録を並べ、「決定」と「アクション」だけを抜き出す。
重複や矛盾があれば統合し、優先順位を見直す。
学びは「ルール化」「テンプレ改訂」「スニペット追加」のいずれかに落とし込む。
次週の会議冒頭で、前週のアクション完了率を読み上げてリズムを作る。

ケース別ミニテンプレの追加配布

役員会

冒頭3行。決算要点。意思決定。開示方針。
決定。投資案件。人事。ガバナンス。
アクション。IR資料作成。監査対応。次回日程。

プレスリリース検討会

冒頭3行。発表骨子。発表日。調整事項。
決定。見出し。主要メッセージ。引き合いの事例。
アクション。草案担当。法務レビュー。メディア向けQ&A作成。

顧客トラブル共有会

冒頭3行。状況。原因仮説。初動。
決定。謝罪方針。補填条件。再発防止。
アクション。個別連絡の担当。期日。検証タスク。

よくあるQ&Aで詰まりを解消

どこまで詳細に書くべきか

「後から意思決定を再現できる最小限」を基準にする。
議論の流れは要旨で残し、決定とアクションは一字一句レベルで正確に。
迷ったら「誰が読むか」で密度を調整する。

議事録の誤りに気づいたら

配信スレッドに修正箇所を追記し、本文の冒頭に「更新履歴」を追加する。
修正は「誤→正」の対で示し、影響範囲があればアクションも更新する。
曖昧なまま放置せず、その日のうちに直すのが理想だ。

参加者が多く収拾がつかない

「基準を先に合意」「時間制限を設定」「発言は結論から」の3ルールを冒頭で宣言する。
議事録はそのルールに沿って段落化し、外れた話題は「駐車場」欄に退避させる。
駐車場は次回の議題に昇格するか、個別対応に振る。

配布メールの完全テンプレ

件名。[議事録]会議名_YYYYMMDD。
本文1行目。結論。
本文2行目。理由。
本文3行目。次アクション。
本文4行目以降。決定。アクション。未決。参考資料。
署名。問い合わせ先。公開範囲。保管場所。
この順で固定すると、読む側の学習コストが下がる。

うまく回すためのチェックイン例

朝会。昨日のアクションの完了/未完。今日の最重要タスク。助けが必要な点。
週次会。先週の「決定」と「未決」の棚卸し。KPIの差分。障害の有無。
月次会。方針変更の読み合わせ。翌月の議題仮置き。テンプレ改訂の提案。
チェックイン文は短く、声に出して読める長さに収める。

事例で理解を固めるミニ演習

演習1

与件。SaaSのトライアルコンバージョンが下がった。
あなたはマーケ会議の議事録を作る。
冒頭3行のドラフトを作る。
解答例。結論。ランディングのABテストとメール連携の改善を2週間で実施。理由。トライアル起点のCVRが2.1%から1.4%へ低下。次アクション。Eがフォーム最適化案を8月15日までに提示。
決定。ABテストの仮説はCTA文言とフォーム項目削減。
アクション。Fは週次でCVRをレポート。
未決。広告チャネルの再配分。次回までに選定。

演習2

与件。サポートの問い合わせが増えた。
冒頭3行のドラフトを作る。
解答例。結論。トップ3の問い合わせに対しFAQ拡充とプロダクト内ヘルプを改善。理由。チケットの40%が同一テーマ。次アクション。Gが8月20日までに新規ヘルプ3本を追加。
決定。プロダクト内からの導線を強化。
アクション。HはヘルプのPVと解決率を測定。
未決。チャットボットの導入可否。次回審議。

まとめ

議事録は「誰が何をいつまでにやるか」を一文で固め、冒頭3行で全体像を先出しするだけで、読み手の迷子が激減する。
テンプレは万能形を軸に、会議タイプ別の小さな差分を重ねるだけで十分に使い回せる。
さらに、決定文の文型。SMART化。タグと表記の統一。これらの小技を重ねれば配布までが滑らかに進む。
今日の会議から「要約→決定→アクション→未決」の順で書いてみよう。
最初はぎこちなくても、1週間続ければ手が勝手に動くようになる。
あなたの議事録が意思決定を加速し、チームの時間を守る強い味方になりますように。

  • この記事を書いた人

あすな

WEB制作歴10年。 会社員でWEBクリエイターとして勤務。 デジタルガジェット、WEB技術、投資、ライフハックに興味があり現在複数のブログを運営中

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